「Minisforum TH50、買ったはいいけどファンの音が気になる…」
「BIOSをいじれば静かになるのかな?」
そんな風に思って、この記事にたどり着いたんじゃないでしょうか。
率直に言います。Minisforum TH50のBIOSは、ファン制御やCPU性能を細かく調整できるようなものではありません。 実際のユーザーからも「BIOSに設定項目がほとんどない」「何も調整できない」という声が複数上がっています。多くのミニPCでは当たり前のようにできるファンカーブの変更やTDP調整が、このTH50では基本的にできません。
でも、だからといって騒音問題を我慢するしかないのかというと、そうでもないんです。この記事では、BIOSではできないことと、その代わりに現実的で効果的な対策を、実ユーザーの体験をもとに徹底的に解説していきます。
TH50のBIOSで実際にできること・できないこと
まずはハッキリさせておきましょう。TH50のBIOSは、いわゆる「シンプル」な設計です。
製品発表時(2022年)の情報を見ても、BIOSに関する詳細な解説はほとんど見当たりません。これは裏を返せば、それだけBIOSでいじれる項目が少ないことの証拠でもあります。
具体的に何ができて、何ができないのか。実ユーザーの報告を基にまとめると、こうなります。
できること(確認できている範囲)
- BIOSの起動順序変更(ブート優先順位の設定)
- 内蔵デバイスの有効/無効切り替え(オンボードオーディオやLANポートなど)
- 日付・時刻の設定
- セキュリティ関連の基本設定(パスワード設定など)
つまり、ごく一般的なBIOSの基本機能だけが用意されていると考えてください。
できないこと(ユーザー報告による)
- ファン制御(ファンカーブの変更) :これが最大の痛手です。負荷がかかるとファンが急に回り始め、その「立ち上がり音」が気になるというユーザーが多くいます。
- CPU性能設定(TDP、PL1/PL2などの変更) :Turbo Boostのオン/オフすらBIOSからは切り替えられないと見られます。
- メモリ設定の変更:XMPプロファイルの読み込みなどは当然ながら非対応です。
- オーバークロック関連の設定:一切存在しません。
「え、じゃあ何のためにBIOSに入るんだよ…」と思われた方、その気持ち、よくわかります。特にミニPCをサイレント運用したい人にとって、BIOSでファン制御ができないのはかなりのマイナスポイントです。
なぜ騒音が気になるのか?公式スペックと実体験のギャップ
ここで、TH50の冷却性能に関する公式発表を確認しておきましょう。
Minisforumの製品発表を伝えたテックサイト(Fünstec、2022年)によると、TH50の動作音は通常時45.2dB、負荷時48.5dBとされています。また、冷却性能は待機時34度、負荷時70度という数値も公表されていました。
一見すると、数値だけで見れば「静かで冷却も良好」に見えます。
しかし、実ユーザーからは「ファンの急回転がうるさい」という趣旨の不満が複数報告されています。これは公式数値と矛盾しているのでしょうか?
実はそうではありません。公式発表の「45.2dB」は、一定の負荷をかけ続けた状態での平均的な騒音値です。ところがユーザーが問題にしているのは、CPU負荷が変動する瞬間にファンが急に回り始める「立ち上がり音」 なんです。
TH50のBIOSではファンカーブを調整できないため、この瞬間的な騒音をユーザー側で制御することができません。静かな環境で使っていると、ファンが「シューン!」と回り始める音が非常に目立つ。これが実ユーザーが感じている「騒音問題」の正体です。
それでも騒音を抑えたい!現実的な3つの対策
BIOSでファン制御ができないなら、どうすればいいのか。ここからは、実ユーザーが実際に試して効果を確認している対策を紹介します。
対策①:Windowsの電源オプションで「最大プロセッサの状態」を99%にする
これが最も効果的で簡単な方法です。
Windowsの「電源オプション」→「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」→「プロセッサの電源管理」→「最大のプロセッサの状態」を、既定の100%から99%に変更します。
この設定の効果は何かというと、CPUのTurbo Boost(睿頻)が無効化されます。Turbo Boostが働くとCPUのクロックが一気に上がり、それに伴って発熱が増え、ファンが急回転します。これを抑制することで、ファンの急な立ち上がりを防ぐことができるわけです。
この方法は、複数のユーザーフォーラムで「TH50の騒音対策として有効」と報告されています。デメリットとしては、Turbo Boostが効かなくなる分、最高性能は少し落ちる点です。ただし、オフィスワークや動画視聴程度であれば、体感できるほどの差はほぼありません。
対策②:PCの置き場所を工夫する
当たり前のようですが、意外と見落としがちです。
- 壁から離して置く:吸気口や排気口が塞がれると、ファンが余計に回ります。
- 通気性の良い場所に置く:ラックの中や狭いスペースは避けましょう。
- 机の上に置く:床置きよりホコリを吸い込みにくく、冷却効率も上がります。
TH50の底面と側面に吸気口があるので、それらを塞がない配置が基本です。
対策③:負荷をかけるタイミングを分散させる
TH50で動画編集やファイルの一括変換など、高負荷の作業をする場合は、そのタイミングを意識的にコントロールするという方法もあります。
たとえば、
- 長時間のエンコード作業は外出中や就寝前に実行する
- 複数の重いアプリを同時に起動しない
- ブラウザのタブを必要以上に開きすぎない
「そんなの対策にならない」と思われるかもしれませんが、BIOSでどうにもならない以上、運用でカバーするという現実的な選択肢も重要です。
TH50と競合ミニPCを比較してみた(BIOS設定編)
「TH50のBIOS制限って、他のミニPCと比べてどれくらい弱いの?」という疑問にお答えするため、同じ頃に発売された競合モデルと比較してみました。
| 項目 | Minisforum TH50 | Intel NUC 11 Pro(i5-1145G7) | ASUS PN51(Ryzen 5 5500U) | Lenovo ThinkCentre M75q Gen 2(Ryzen 5 PRO 5650GE) |
|---|---|---|---|---|
| BIOSでのファン制御 | 不可(ユーザー報告) | 可(詳細設定あり) | 可(QLファンコントロール対応) | 可(詳細設定あり) |
| CPU性能設定(TDP/PL1/PL2) | 変更不可(ユーザー報告) | 可(カスタム設定あり) | 可 | 可 |
| BIOSアップデート提供状況 | 不明(公式サイトでは確認できず) | 定期提供(Intel公式) | 定期提供(ASUS公式) | 定期提供(Lenovo公式) |
| BIOS日本語表示 | 不明 | 対応 | 対応 | 対応 |
(各メーカー公式サイト・ユーザーフォーラム報告をもとに2026年7月時点で作成)
この表を見ると、TH50は競合と比較してBIOSのカスタマイズ性が著しく低いことがわかります。特にファン制御とCPU性能設定ができない点は、サイレントPCやパフォーマンスチューニングを求めるユーザーにとっては大きなハンディキャップと言わざるを得ません。
BIOSアップデートはもう諦めるべき?
気になるのは、BIOSアップデートでこれらの制限が解除される可能性です。
結論から言うと、直近90日以内(2026年7月14日時点)にMinisforum公式からTH50のBIOSアップデートが発表されたという情報は確認できませんでした。
Minisforum公式のサポートページ(https://www.minisforum.com/support)も確認しましたが、TH50のBIOSダウンロードやアップデート情報は見当たりませんでした。
製品の発売からすでに4年近くが経過していることを考えると、今後大規模なBIOSアップデートで機能が拡充される可能性は非常に低いと見られます。「将来的にファン制御ができるようになるかも」という期待は、一旦脇に置いたほうが現実的です。
では、TH50はどんな人に向いているのか?
ここまで読んで、「TH50、買うのやめとこうかな…」と思った方もいるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。BIOSの制限は確かにネックですが、TH50のすべてが悪いわけではありません。
TH50が向いている人はこんな感じです。
- デザインがコンパクトで、机の上をスッキリさせたい人
- Thunderbolt 4やデュアルLANなど、拡張性を重視する人
- スペックに対してコストパフォーマンスが良いと感じる人
- 騒音より処理速度を優先したい人(ファンの音はある程度気にしない)
逆に、TH50が向いていない人はこんな感じです。
- どうしても静音PCが欲しい人(これが一番の該当者です)
- BIOSで細かいチューニングをしたい上級者
- ファン制御を自分好みに調整したい人
「静音」を最優先するのであれば、Intel NUCやASUSのミニPCなど、BIOSでファン制御ができるモデルを選ぶのが無難です。
どうしてもTH50を使いたい人へ:最後にできること
それでもTH50を手放したくない、あるいはもう手元にあるからなんとかしたい、という方のために、最後にもう一つだけアドバイスを。
「ファンの音がうるさい」という問題は、実はBIOS以外のところにも解決の糸口があります。 今回紹介した「最大プロセッサの状態を99%にする」設定は、多くのユーザーが実際に効果を実感している方法です。まずはこれを試してみてください。
また、どうしても許容できない場合は、Minisforumのサポートに直接問い合わせてみるのも手です。ただし、BIOSアップデートのリリース予定について明確な回答が得られる可能性は高くないと見ておいたほうがいいでしょう。
Minisforum TH50のBIOS制限、まとめ
もう一度、この記事の結論を明確にしておきます。
Minisforum TH50のBIOSは、ファン制御やCPU性能の調整ができません。 これは2022年の発売以来、現在(2026年7月)に至るまで変わっていません。そして、今後のアップデートでこれらの機能が追加される可能性も極めて低いと見られます。
だからこそ、騒音対策はBIOSではなく、Windowsの電源設定など別の方法で行う必要があります。そして、「静音性」を最重視するのであれば、TH50は選択肢から外すのが賢明です。
あなたがTH50を購入するか、すでに使っているかはわかりませんが、この記事が「BIOSをいじれば何とかなる」という誤解を解き、正しい判断や対策をするための助けになれば嬉しいです。
TH50の代わりに検討すべきミニPC
もし「やっぱり静かなミニPCが欲しい」という場合、以下のモデルが選択肢になります。いずれもBIOSでファン制御が可能なモデルとして知られています。
- Intel NUC 11 Pro
BIOSでのカスタマイズ性が高く、ファン制御も細かく設定できます。TH50で不満だった「調整できない」ストレスから解放されるでしょう。 - ASUS PN51
ASUSのQLファンコントロールに対応しており、静音運用を重視する方に定評があります。Ryzen搭載でグラフィックス性能も十分です。 - Lenovo ThinkCentre M75q Gen 2
ビジネス向けだけあって信頼性が高く、BIOS設定も充実。コンパクトながらしっかりした作りが魅力です。
これらのモデルはTH50より価格がやや高くなる傾向がありますが、「静かでカスタマイズできる」という価値にどれだけ対価を払えるかが、あなたの満足度を分けるポイントになるでしょう。


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