Minisforum UM690のBIOSアップデートを考えたとき、まず知っておくべき結論からお伝えします。「最新版が必ずしもベストではない」 ということです。実際、BIOSバージョンによってメモリのオーバークロック可否が変わったり、特定の機能が削除されたりすることが確認されています。2026年7月現在、v1.16とv1.17の間には明確なトレードオフが存在し、あなたの使い方によって「正解のバージョン」が変わってきます。この記事では、各バージョンの実際の違いを整理し、アップデートすべきかどうかの判断基準を、ユーザーの生の声や公式情報を交えながら徹底解説していきます。
Minisforum UM690のBIOS、まず押さえるべき基本と最新状況
UM690シリーズの最新動向として、2025年6月下旬に新モデル「UM690L Slim」が発表されました。従来のUM690と同じRyzen 9 6900HXを搭載しながら、LPDDR5-6400メモリを採用し、0.8Lの超小型筐体を実現したモデルです(出典:2025年6月29日付報道)。さらに2026年1月には、Amazonで約2万円引きの8万9100円で販売されるなど、日本の市場でも注目を集めています(出典:2026年1月19日 PC Watch)。
では、従来のUM690のBIOSはどうなっているのか。まず基本スペックをおさらいすると、UM690はAMD Ryzen 9 6900HX(8コア/16スレッド、最大4.9GHz)とRadeon 680M(12CUs、最大2.4GHz)を搭載したミニPCです。メモリはDDR5-4800に対応し、最大64GBまで搭載可能。USB4ポートも備えています(出典:Guru3D、2022年製品発表時)。BIOSのアップデートファイルは、Minisforumの公式サイトや各メディアのミラーサイトから入手できます。
知らないと損する?BIOSバージョン別の特徴と実際の違い
UM690のBIOSには複数のバージョンが存在します。公式のリリースノートやユーザーの検証結果をもとに、各バージョンの実態を整理してみました。
v1.05(初期出荷バージョン)
出荷時点でのデフォルトファームウェアです。特に大きな不具合がなければ、このまま使い続ける選択肢もあります。ただし、後述するバージョンで修正された問題を抱えたままになる可能性があります。
v1.11(2022年12月15日公開)
公開は確認されていますが、具体的な変更点は明らかになっていません。積極的に選ぶメリットは見つけにくいバージョンです。
v1.16(2024年3月11日公開、要注目)
このバージョンには二つの大きな特徴があります。一つは、公式リリースノートに「サポートされていない65W設定モードを削除」と明記されている点(出典:驱动之家、2024年3月)。もう一つは、ユーザー検証によりDDR5-5200までのメモリオーバークロックが可能であると報告されている点です(出典:個人ブログ検証、2023年9月)。つまり、OCを楽しみたい上級者にとっては、このv1.16が一つの到達点になります。
v1.17(ファイル日付2023年6月)
このバージョンについては公式リリースノートが明確に見当たらず、ユーザー間では「v1.17に上げるとメモリOCができなくなる」という報告が複数確認されています(出典:個人ブログ検証、2024年1月追記)。OC目的なら避けたほうが無難でしょう。
v1.06(UM690 Pro専用、2024年5月23日公開)
Pro版専用のBIOSで、PCIeエラーやWiFi 6Eの問題、NVIDIA GPU使用時の無出力問題を修正しています(出典:驱动之家、2024年5月)。通常版UM690への適用は非推奨です。そもそも適用できるかどうかも不明確なので、Pro版ユーザー以外は手を出さないほうが安全です。
このように、バージョンによって「できること」と「できないこと」が明確に分かれています。特にv1.16とv1.17の間には、メモリOCという大きな違いがある点は要チェックです。
ユーザーのリアルな声から見えるBIOSの実態と不満ポイント
実際にUM690を使っているユーザーからは、どんな声が上がっているのでしょうか。複数のフォーラムやレビューサイトを調査したところ、ポジティブな意見とネガティブな意見がほぼ半々という印象でした。
ポジティブな声としては、BIOSアップデート後にシステム全体の安定性が向上したという報告が複数見られました。特にファン制御が改善された点を評価する声が目立ちます。また、メモリOCに成功して性能を引き出せたという検証報告もあり、ミニPCの限界に挑戦する楽しさを感じているユーザーもいるようです。さらに、Minisforumのサポート対応が比較的迅速で丁寧だったという評価も複数のプラットフォームで確認できました。
一方で、ネガティブな声はより多く、特に「アップデートすべきかどうか判断できない」という不安の声が圧倒的でした。これは各バージョンの情報が断片的で、全体像を把握しづらいことに起因しています。
具体的な不満としては、以下のようなポイントが挙がります。
- 「v1.16はマシンをブリックさせる」という噂がフォーラムで拡散されており、更新に踏み切れない
- v1.17にアップデートしたらOCができなくなったという「後悔」の声
- BIOS更新用のプログラムが実行しても何も起きないというトラブル報告
- Proxmoxなどの仮想化環境でUSBパススルーやキーボード認識に問題が出る
- BIOSの日付とファイル名が一致せず、どれが正しい情報か混乱する
- CMOSクリアの具体的な手順がわかりにくい(何秒押せばいいのか、電源はどうするのか)
こうしたリアルな声は、公式のリリースノートだけでは決して見えてこない部分です。
アップデート「失敗」時の対処法とCMOSクリアの実践手順
もしBIOSアップデートやOC設定で起動しなくなってしまった場合の最終手段が「CMOSクリア」です。UM690にはCMOSクリア用のボタンが搭載されていますが、具体的な使い方まで詳しく解説した日本語の情報はほとんどありません。
実機やマニュアルを基にした実践的な手順としては、まずPCの電源ケーブルを抜き、すべてのUSBデバイスを外します。その後、CMOSクリアボタンを10秒以上押し続けます。マニュアルには明記されていませんが、ユーザーフォーラムでの報告を総合すると、5秒では足りず、10秒以上押すことで確実にリセットできるケースが多いようです。ボタンを離したら、電源ケーブルを再接続して起動してみてください。これでBIOS設定が工場出荷状態に戻り、OC失敗などで起動しなくなった問題が解消されることがほとんどです。
また、BIOS更新用のプログラムが起動しない場合の対処法としては、以下の点を確認してみてください。
- 管理者権限で実行しているか(右クリック→「管理者として実行」)
- セキュリティソフトが一時的にブロックしていないか
- USBメモリから更新する場合、FAT32でフォーマットされているか
それでもダメなら、別のUSBメモリを試すか、Windows上からではなくBIOS内蔵の更新機能(該当する場合)を使ってみるのも手です。
「v1.16は危険」は本当か?噂の真偽を検証する
Redditや一部フォーラムで「v1.16はマシンをブリックさせる」という懸念がささやかれていますが、これは本当なのでしょうか。
公式リリースノート(驱动之家掲載、2024年3月11日付)には、v1.16での変更点は「サポートされていない65W設定モードを削除」のみと明記されており、ブリックに関する記述は一切ありません。また、実際にv1.16を適用して問題なく動作している報告も複数存在します。
この「危険説」は、おそらく特定の環境下(特定のメモリ構成や周辺機器との組み合わせ)で発生した個別の不具合が、フォーラムで拡大解釈された可能性が高いと見られます。ただし、OCを楽しみたい上級者にとっては、v1.17でOCが制限されるという報告があるため、v1.16はむしろ「最後のOC可能バージョン」として価値が高いと言えます。
結論として、v1.16は「危険」ではなく「目的によって選ぶべきバージョン」です。OCを重視するならv1.16を選び、安定性や最新の修正を優先するならv1.17以降を検討する。これが正しい理解でしょう。
あなたの目的別!UM690 BIOSバージョン選択フローチャート
ここまでの情報を踏まえて、あなたの使い方に合ったBIOSバージョンを選ぶ基準を整理しました。
安定性を最優先する場合 → 現状のv1.05のまま使い続けるか、どうしても不具合がある場合のみv1.17を検討。ただしOCは諦める。
メモリOCを楽しみたい場合 → v1.16を選ぶ。DDR5-5200までのOCが可能という検証結果あり。ただし65Wモードは削除されている点に注意。
UM690 Proを使っている場合 → v1.06(Pro専用)を適用。PCIeエラーやWiFi 6E問題が修正されている。
仮想化環境(Proxmox等)を使っている場合 → 現時点で明確に最適なバージョンはない。フォーラムでの報告を基に慎重に選ぶか、現状維持を推奨。
重要なのは、「最新版=最善版」ではないという認識です。特にv1.16とv1.17の間には明確なトレードオフがあります。アップデート前に自分の目的を再確認し、必要なら現状のバージョンをバックアップしてから実行することをおすすめします。
UM690シリーズの今後とBIOSサポートの見通し
最後に、UM690シリーズ全体の展望についても触れておきましょう。
2025年6月に発表されたUM690L Slimは、LPDDR5-6400メモリやUSB4給電対応など、新たな要素を盛り込んだ進化版です(出典:2025年6月29日付報道)。従来のUM690とBIOSに互換性があるかは現時点では不明ですが、製品ライフサイクルとしては旧UM690のサポートは徐々にフェードアウトしていく可能性が考えられます。とはいえ、2026年7月現在、MinisforumはまだUM690シリーズ全体をアクティブに展開していると見てよいでしょう。
BIOSアップデートは、あくまで「不具合を直す」「機能を追加する」「性能を引き出す」ための手段です。アップデートそのものが目的化しないように、自分の使い方と照らし合わせて冷静に判断することが何より大切です。
Minisforum UM690と関連モデルの選び方・おすすめ製品
BIOSアップデートの検討と合わせて、UM690シリーズの購入や中古モデルの選び方も気になる方もいるでしょう。ここでは調査結果に登場したモデルを中心に紹介します。
Minisforum UM690 Pro
最新BIOS v1.06でPCIeエラーやWiFi 6E問題が修正されているPro版です。特にNVIDIAの外部GPUを使いたい方におすすめ。通常版よりも安定性が向上している点が魅力です。
Minisforum UM690L Slim
2025年6月に発表された最新モデル。LPDDR5-6400メモリ搭載で、従来モデルよりも高速なメモリ性能を引き出せます。超小型筐体でデスク周りをスッキリさせたい方に最適です。
Minisforum UM690
ベースモデル。v1.16のBIOSでメモリOCを楽しみたい上級者には、こちらのほうがコストパフォーマンスが良い場合もあります。中古市場でも見かける機会が増えています。
BIOSアップデートは、ミニPCの潜在能力を引き出すための有効な手段です。しかし、何よりも大切なのは「自分の目的に合ったバージョンを選ぶ」という視点です。この記事が、あなたのUM690ライフをより快適にする一助となれば幸いです。

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