GMKtecのミニPCでLinuxを使いたい。そう考えたとき、どのモデルを選べばよいのか迷う方も多いでしょう。多くのミニPCはWindows搭載が前提で、Linuxは自分でインストールする必要があります。しかし、GMKtecには最初からLinux(Ubuntu)がプリインストールされた特別なモデルが存在します。
今回は、GMKtecのミニPCシリーズの中でも、特にLinuxユーザーに向いたNAS特化モデル GMKtec NucBox G9 を中心に、その特徴や注意点を詳しく解説します。この記事では、公式情報や実際のベンチマークデータをもとに、製品の実力を冷静に評価していきます。
GMKtec NucBox G9とは?LinuxプリインストールのNAS特化ミニPC
GMKtec NucBox G9は、2025年1月に発売されたミニPCです。最大の特徴は、Windows 11 ProとUbuntu 24.10のデュアルブートに対応している点にあります。Linuxは本体のeMMCストレージ(64GB)にプリインストールされており、購入後すぐにUbuntuを起動して使い始めることができます。
このモデルは単なるミニPCではなく、「2-in-1 NAS Mini PC」というコンセプトを掲げています。つまり、ファイルサーバーとしての利用を強く意識した設計がなされているのです。
主なスペック
- CPU:Intel Twin Lake N150(4コア/4スレッド、最大3.6GHz)
- メモリ:LPDDR5 12GB(オンボード、拡張不可)
- ストレージ:M.2 2280 SSDスロット×4(最大16TBまで拡張可能)
- ネットワーク:デュアル 2.5GbE LANポート(Intel I226-V)
- OS:Windows 11 Pro + Ubuntu 24.10(デュアルブート)
- サイズ:約130mm × 130mm × 43mm(予想)
- 重量:約800g前後(予想)
コンパクトながら、4つのM.2スロットを搭載できる点が大きな強みです。一般的なミニPCではM.2スロットは1〜2基が標準ですが、G9はそれを大幅に上回る拡張性を備えています。
GMKtec NucBox G9のここがすごい。3つのメリット
1. 公式サポートのあるLinux環境がすぐに使える
GMKtecの他のモデルでは、Linuxはユーザー自身がインストールする必要があります。ドライバの問題やブート周りのトラブルに対処するのは、Linux初心者にはややハードルが高いでしょう。
しかしG9は、Ubuntu 24.10が公式にプリインストールされています。メーカーが動作確認を済ませているため、起動後すぐに安定したLinux環境を利用できます。カーネルやドライバの互換性について深く悩む必要がありません。
2. 大容量ストレージで本格的なNAS構築が可能
M.2 SSDスロットが4基搭載されており、最大で16TB(4TB×4)のストレージを内蔵できます。デュアル2.5GbE LANポートも備えているため、高速なネットワーク経由でファイル共有やバックアップサーバーを構築できます。
一般的なNAS専用機と比較しても、この拡張性は見劣りしません。むしろ、x86アーキテクチャの柔軟性を活かして、自分好みのサーバー環境を構築できる点が魅力です。
3. コンパクトで静音設計
本体サイズは約130mm四方と非常にコンパクト。デスクの上に置いても場所を取りません。動作音も33〜36dB程度に抑えられており、静かな環境でも気になりにくい設計です。
購入前に知っておきたい。3つのデメリットと注意点
1. NAS専用ソフトウェアは付属しない
「NAS特化」と謳われているものの、GMKtecはNASソフトウェアを一切提供していません。ファイル共有やRAID構築、バックアップ機能などは、ユーザー自身がインストールしたソフトウェアやOSで実現する必要があります。
たとえば、UbuntuにSambaを導入して簡易NASにする、TrueNAS ScaleやProxmoxなどの専用OSを別途インストールする、といった対応が求められます。「買ったらすぐNASとして使える」わけではない点は、事前に理解しておきましょう。
2. メモリがオンボードで拡張不可
LPDDR5 12GBはオンボード実装のため、後から増設できません。仮想化環境(Proxmoxなど)で複数のVMを動かしたい場合や、大容量メモリを必要とするワークロードには注意が必要です。メモリ容量が足りるかどうかは、用途に応じて事前に検討しておきましょう。
3. 3.5インチHDDは搭載できない
ストレージはM.2 SSDに限定されます。3.5インチHDDのような大容量・低コストのストレージを搭載することはできません。大容量データを安価に保存したい場合は、USB外付けHDDなどを別途用意する必要があります。
GMKtec NucBox G9はこんな人に向いている
向いている人
- 省スペースで静かな自宅サーバー(ホームラボ)を構築したい人
- Linux(特にUbuntu)をメインOSとして使い、NAS機能も欲しい人
- ProxmoxやTrueNAS Scaleなどの仮想化・NAS専用OSを試してみたい中級者〜上級者
- 複数のM.2 SSDを使ってデータ保存やバックアップ環境を作りたい人
向いていない人
- 購入直後から「箱出しで使えるNAS」を求めている人
- 3.5インチHDDを大量に搭載したい人
- メモリを後から増設したい人(オンボードのため不可)
- Linuxの知識がほとんどなく、トラブル対応に不安がある初心者
GMKtecの他のモデルとどう違う?G3 PlusやG5との比較
GMKtecには、G9以外にもエントリーモデルが複数存在します。それぞれの違いを簡単に整理しておきます。
GMKtec G3 Plus / G5
- 特徴:Intel N150またはN97搭載のスタンダードなミニPC
- ストレージ:M.2スロットは1基のみ
- LANポート:1基(G5はギガビットLAN)
- OS:Windows 11 Proのみ(Linuxはプリインストールなし)
これらのモデルは、一般的なデスクトップ代替や軽量な事務処理用途に向いています。しかし、NAS用途で考えるとストレージ拡張性とネットワーク性能で大きく劣ります。また、Linuxを公式サポートしているのはG9のみです。
もし「GMKtecでLinuxを使いたい」という目的であれば、現時点ではG9がもっとも適した選択肢といえるでしょう。
Linuxユーザーが知っておきたい。Ubuntu以外のディストリビューションは動く?
公式サポートはUbuntu 24.10のみです。ただし、ハードウェア的には一般的なx86構成のため、他のLinuxディストリビューションも動作する可能性は高いと考えられます。
実際に、Ubuntu 24.04 LTSでの動作テストがコミュニティで実施されており、Intel I226-VのNICドライバも標準で認識されることが確認されています(カーネルバージョン6.11.0以上の環境)。
ただし、あくまでこれはユーザーコミュニティによる報告であり、GMKtecが公式に動作保証しているわけではありません。DebianやArch Linux、Proxmox VEなどを導入する場合は、自己責任での対応が必要です。
よくある質問
Q. NucBox G9は「NAS」ですか?
A. 製品コンセプトとしては「NAS特化型ミニPC」ですが、NAS専用アプライアンスではありません。NASとして使うには、ユーザー自身がOSやソフトウェアを導入して構築する必要があります。
Q. Ubuntu 24.10以外のLinuxを使えますか?
A. ハードウェア的には可能ですが、公式サポート外です。コミュニティフォーラムなどで情報を収集し、自己責任で導入してください。
Q. ストレージは最大どのくらい搭載できますか?
A. M.2 SSD×4基で、公式には最大16TB(4TB×4)まで対応しています。一部の情報では32TBまで可能とも言われていますが、確実なのは公式情報の16TBです。
Q. 消費電力はどのくらいですか?
A. TDPは15Wで、アイドル時は6W程度と推定されています。詳細な実測値は公開されていませんが、省電力なミニPCといえるでしょう。
GMKtecでLinuxを選ぶならG9が有力な選択肢
GMKtecのミニPCでLinuxを活用することを考えると、現時点ではNucBox G9がもっとも有力な選択肢です。
- Linux(Ubuntu)が公式プリインストールされている
- 4基のM.2スロットとデュアル2.5GbE LANでNAS用途に最適化
- コンパクトで静音設計
一方で、NASソフトウェアが付属しない点や、メモリがオンボードで拡張できない点は、購入前にしっかり理解しておくべきポイントです。
「自宅でLinuxサーバーを構築したい」「ファイルサーバーや仮想環境を試したい」というニーズを持つ中級者以上のユーザーにとって、G9は検討に値する一台です。
まずは公式販売ページで最新の価格や在庫状況を確認し、自分の用途に合うかどうかをじっくり比較してみてください。


コメント