ミニPCにUbuntuをインストールしたい——そう思ったとき、まず気になるのが「どの機種を選べばいいのか」「本当にちゃんと動くのか」という点ではないでしょうか。
WindowsがプリインストールされたミニPCを買って、そこにUbuntuを入れるのは決して難しいことではありません。ただし、ハードウェアとの相性によっては、インストール後にWi-Fiが使えなかったり、ドライバで悩まされたりすることもあります。
この記事では、Ubuntuを快適に動かすためのミニPCの選び方と、実際に動作が確認されているおすすめ機種を紹介します。インストールの流れやよくあるトラブルの回避ポイントもあわせて解説するので、はじめての方でも安心して読み進めてください。
Ubuntuに適したミニPCを選ぶときに押さえるべきポイント
ミニPCを選ぶとき、見た目や価格だけで決めてしまうと、後悔する可能性があります。とくにUbuntuのようなLinuxディストリビューションを使う場合は、いくつか重要なチェックポイントがあります。
CPUの世代と型番を確認する
ミニPCの心臓部であるCPUは、性能と価格に直結します。最近のエントリーモデルでは、Intel N100やその後継にあたるIntel N150、Intel N200といったプロセッサが多く採用されています。
これらのCPUは消費電力が非常に低く(TDP 6W前後)、価格も抑えられているため、コストパフォーマンスに優れています。日常的なWebブラウジングや文書作成、ファイルサーバーとしての利用であれば、十分な性能を発揮します。
一方、ソフトウェア開発や仮想環境の構築、Dockerコンテナを複数動かしたいといった用途には、AMD Ryzen 7 8745Hのようなミドルレンジ以上のCPUを搭載したモデルが適しています。価格は上がりますが、処理能力に余裕がある分、快適な作業環境を実現できます。
Wi-Fi/BluetoothチップはIntel製が安心
これは意外と見落とされがちなポイントです。Ubuntuを含むLinuxディストリビューションでは、Wi-Fiチップのドライバ対応状況が大きな課題になることがあります。
特に、MediatekやRealtek製のWi-Fiチップは、特定のカーネルバージョンで動作しないケースが報告されています。一方、Intel製のWi-Fiチップ(Intel AX200やIntel AX210など)は、Linuxカーネルに標準でドライバが組み込まれており、安定して動作しやすいのが特徴です。
製品ページに搭載チップの型番が明記されていない場合は、口コミやレビューで「Ubuntuで動作した」という報告があるかをチェックするとよいでしょう。
OSあり/なしモデルの価格差を比較する
ミニPCには、Windows 11 Proがプリインストールされたモデルと、OSなしのモデルがあります。
後者を選べば、ライセンス費用分だけ安く購入できます。Ubuntuは無償で利用できるため、OSなしモデルに自分でインストールするのが最もコストを抑えられる方法です。
数千円から場合によっては1.5万円程度の差が出ることもあるので、予算に余裕がない方はOSなしモデルを検討してみてください。ただし、自分でOSをインストールする手間はかかるので、その点はあらかじめ理解しておきましょう。
Ubuntuで動作確認済みのおすすめミニPC
ここからは、実際にUbuntuの導入事例が確認されているミニPCを紹介します。予算や用途に合わせて、自分に合ったモデルを選んでください。
1. Beelink Mini S12 Pro
特徴
Intel N100プロセッサを搭載したエントリーモデルの定番機種です。非常に低価格でありながら、省電力で静音性が高いのが特徴です。Linuxでの動作実績が豊富で、Ubuntuをはじめとする多くのディストリビューションで安定して動くことが知られています。
メリット
- コストパフォーマンスが非常に高い
- 消費電力が少ない(TDP 6W)
- ファンノイズが気になりにくい
- 小型で設置場所を選ばない
デメリット
- 高い処理能力が求められる作業には不向き(動画編集や3Dゲームなど)
- メモリやストレージの拡張性は限定的
向いている人
- 予算を抑えてUbuntu環境を始めたい初心者
- ファイルサーバーや軽量なデスクトップ用途で使いたい人
- 省電力で静かなPCを求めている人
向いていない人
- ソフトウェアのコンパイルや大規模な開発作業を行う人
- 複数の仮想マシンを同時に動かしたい人
注意点
搭載されているWi-Fiチップの型番を事前に確認しましょう。Intel製であれば安心ですが、それ以外の場合は動作報告を調べてから購入することをおすすめします。
2. MINISFORUM UN150P
特徴
Intel N150プロセッサを搭載した、N100の後継モデルです。実際にUbuntu 24.04 LTSをインストールした導入事例が確認されており、エントリーモデルの中では最新の選択肢のひとつです。
メリット
- N100より新しい世代のCPUを搭載
- 実際のUbuntu導入事例がある
- 価格が抑えられている(日本円で約4万円前後)
- 省電力設計
デメリット
- 性能はあくまでエントリーレベル
- 日本語公式ショップでの出荷に時間がかかる場合があるとの情報あり
向いている人
- 最新のエントリーCPUを搭載した製品を求める人
- 予算重視でUbuntuを始めたい人
向いていない人
- 高い処理性能を必要とする人
注意点
一部の口コミでは、プリインストールされているWindowsが日本語版ではなかった可能性があるという指摘があります。OSなしモデルを選ぶか、言語設定を自身で変更する必要がある点をあらかじめ把握しておきましょう。
3. MINISFORUM UM870 Slim
特徴
AMD Ryzen 7 8745Hを搭載したミドルレンジのミニPCです。Intel N100シリーズと比較すると価格は上がりますが、処理性能は段違いです。Dockerコンテナの実行やソフトウェアのビルドなど、負荷の高い作業も快適に行えます。
メリット
- 高いCPU性能(エントリーモデルの2倍以上の処理能力)
- 開発作業や仮想化環境の構築に適する
- AMDGPUドライバがLinuxカーネルに統合されている
デメリット
- 価格がエントリーモデルの2倍以上(約$500前後)
- 消費電力がN100より高い(TDP 15W)
向いている人
- ソフトウェア開発者
- 仮想化環境や複数コンテナを動かしたい人
- ある程度の予算をかけられる人
向いていない人
- とにかく安さを最優先する人
- 省電力性を最も重視する人
注意点
性能が高い分、放熱設計も重要になります。設置場所の通気性を確保するなど、適切な環境で運用しましょう。
4. System76 Meerkat
特徴
System76はLinuxディストリビューションであるPop!_OSの開発元でも知られるメーカーです。このMeerkatは、Pop!_OSまたはUbuntuがプリインストールされた状態で出荷されるミニPCです。
メリット
- ドライバ互換性が100%保証されている
- 専門サポートが受けられる
- Linuxディストリビューションの開発元による製品のため、品質に信頼がある
デメリット
- 価格が高い($799〜)
- 日本国内での入手性が低い可能性がある
向いている人
- 「動かない」リスクを完全に排除したい人
- ビジネス用途で安定性を最優先する人
向いていない人
- 予算を最重視する人
注意点
日本への発送やアフターサポートの体制を事前に確認することをおすすめします。
自分に合ったミニPCを選ぶための判断基準
ここまで4機種を紹介しましたが、どれを選べばよいか迷う方もいるでしょう。以下のフレームワークで整理すると、自分に合ったモデルが見えてきます。
予算で選ぶ
- 3万円〜5万円程度:Beelink Mini S12 Pro、MINISFORUM UN150Pが候補になります。エントリーモデルとしては十分な性能を持ち、Ubuntuをはじめるには最適な価格帯です。
- 7万円以上:MINISFORUM UM870 SlimやSystem76 Meerkatなどのミドルレンジ以上が視野に入ります。開発用途や本格的なサーバー構築を考えている方に向いています。
用途で選ぶ
- Web閲覧・文書作成・ファイルサーバー:N100やN150搭載のエントリーモデルで十分です。予算を抑えつつ、省電力で運用できます。
- 開発作業・仮想環境・コンテナ:Ryzen搭載のミドルレンジモデルを選びましょう。コンパイル時間の短縮や複数コンテナの同時実行で体感性能の差を実感できます。
- 絶対に動くことを重視:System76 MeerkatのようなLinuxプリインストールモデルが最も確実です。価格は高めですが、その分の安心感があります。
最新モデルを狙うか、型落ちを狙うか
2026年現在、エントリーCPUはN100からN150/N200へと世代が移行しつつあります。最新モデルを選べば、より長くサポートされる可能性が高いです。
一方で、型落ちとなるN100搭載モデルは価格が下がっていることが多く、コスト重視の方には狙い目です。性能面で大きな差があるわけではないので、予算との相談になります。
UbuntuをミニPCにインストールする基本的な流れ
ミニPCが手元に届いたら、いよいよUbuntuのインストールです。ここでは大まかな流れを説明します。
1. インストール用USBメモリを作成する
Ubuntu公式サイトからISOイメージをダウンロードします。最新のLTS版(長期サポート版)を選ぶのがおすすめです。ダウンロードが完了したら、RufusやbalenaEtcherなどのツールを使ってUSBメモリに書き込みます。
2. BIOS/UEFIの設定を変更する
ミニPCを起動し、BIOS/UEFI画面に入ります(起動時にDeleteキーやF2キーを押すのが一般的です)。ここで、USBメモリからの起動を最優先に設定します。また、セキュアブート(Secure Boot)が有効になっている場合は、無効にしておくとインストールがスムーズに進みます。
3. Ubuntuをインストールする
USBメモリから起動すると、Ubuntuのインストーラーが立ち上がります。画面の指示に従って進めるだけで、特に難しい操作はありません。
- 言語やキーボードレイアウトを選択
- インストールタイプを選択(「ディスク全体を使う」が無難)
- タイムゾーンを設定
- ユーザー名とパスワードを設定
インストールが完了したら、USBメモリを抜いて再起動すれば、Ubuntuデスクトップが表示されます。
日本語化についての補足
インストール時に日本語を選択すれば、日本語環境は自動で整います。もし英語環境でインストールしてしまった場合でも、後から「言語サポート」から日本語を追加できます。
一部の日本語Remix版を使う方法もありますが、まずは公式のISOイメージでインストールするのが無難です。
よくあるトラブルと回避方法
Wi-Fiが認識されない
これがLinux初心者が最初にぶつかる代表的な問題です。前述の通り、Wi-Fiチップが非Intel製の場合に発生しやすいです。
回避策:
- 購入前に搭載チップを確認し、Intel製のものを選ぶ
- どうしても動かない場合は、有線LAN(イーサネット)で接続し、追加ドライバをインストールする
- カーネルを最新版にアップデートすることで認識されることもある
画面解像度が正しく表示されない
グラフィックドライバの問題であることが多いです。特に古いカーネルを使っている場合に発生します。
回避策:
- 「ソフトウェアとアップデート」から追加ドライバを探してインストールする
- カーネルを最新版にアップデートする
- どうしても解決しない場合は、Ubuntuコミュニティのフォーラムで同機種の情報を探す
ミニPCにUbuntuを入れるときによくある疑問
UbuntuはどのミニPCでも動くの?
ほとんどのミニPCで動作しますが、すべてのハードウェアが完璧にサポートされるわけではありません。とくにWi-FiやBluetooth、一部のオーディオデバイスでドライバの問題が起こりやすいです。事前に動作実績を調べてから購入するのが安心です。
Intel CPUとAMD CPUはどちらがいい?
どちらもUbuntuで安定して動作します。ただし、グラフィック性能を重視する場合はAMDの内蔵GPU(Radeon)が有利なケースもあります。エントリーモデルを探しているならIntel Nシリーズ、ミドルレンジ以上を検討しているならAMD Ryzenシリーズも選択肢に入ります。
インストールは難しい?
決して難しくありません。USBメモリを作成し、BIOS設定を変更して、あとはインストーラーの指示に従うだけです。はじめての方でも、1時間もあればインストール完了まで進められます。
デスクトップ環境は何を選べばいい?
Ubuntuの標準はGNOMEです。見た目がモダンで使いやすいですが、慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。Windowsに近い操作感を求めるなら、Linux Mint(Cinnamonデスクトップ環境)も選択肢のひとつです。Ubuntuと同じソフトウェアリポジトリが使えるため、アプリの豊富さはそのままです。
まとめ:自分に合ったUbuntuミニPCを見つけよう
ミニPCにUbuntuを導入する最大の魅力は、コストを抑えつつ、軽快でカスタマイズ性の高い環境を手に入れられることです。Windowsのライセンス費用がかからない分、その予算をより良いハードウェアに回すこともできます。
選ぶ際のポイントを改めてまとめると:
- CPU:用途に合わせてN100/N150(エントリー)かRyzen(ミドルレンジ以上)を選ぶ
- Wi-Fiチップ:Intel製を選べばドライバトラブルを回避しやすい
- OSの有無:自分でインストールできるならOSなしモデルがお得
- 動作実績:購入前に「Ubuntu モデル名」で検索し、導入事例を確認する
今回紹介した4機種はいずれもUbuntuでの動作が確認されている選択肢です。予算や目的に合わせて、あなたにぴったりの一台を見つけてください。Ubuntuライフが快適なものになることを願っています。


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