ミニPCにUbuntuをインストールしたいと考えている方へ。この記事では、インストールに必要な準備から具体的な手順、よくあるトラブルとその対策、さらにはUbuntuの導入に向いているミニPCの選び方までをわかりやすく解説します。
「WindowsがプリインストールされているミニPCだけど、Ubuntuに変えたい」「初めてのLinuxインストールで何をすればいいかわからない」という方も、この記事を読めば一歩ずつ進められるはずです。
Ubuntuインストール前に押さえておきたい基本知識
まずは、Ubuntuのインストールを始める前に、押さえておきたい基本情報を整理しておきましょう。
Ubuntuとは?Desktop版とServer版の違い
Ubuntuは、世界中で広く使われているLinuxディストリビューションのひとつです。無料で利用でき、安定性とセキュリティの高さから、個人利用はもちろんサーバー用途でも多くのシーンで採用されています。
Ubuntuには主にDesktop版とServer版の2種類があります。
- Desktop版:画面操作ができるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が標準で搭載されており、WindowsやmacOSと同じようにマウスやキーボードで操作できます。パソコンとして日常的に使いたい方にはDesktop版がおすすめです。
- Server版:GUIがなく、コマンドラインでの操作が基本となります。サーバーとして運用する場合に使われますが、ミニPCにUbuntuをインストールする目的が「軽量なサーバーを自宅で立てたい」という場合には、こちらも選択肢になります。
迷った場合は、まずDesktop版を選んでおけば間違いありません。後からサーバー用途のソフトウェアを追加でインストールすることも可能です。
Ubuntuのバージョン選び:LTS版と通常版
Ubuntuには「LTS(Long Term Support)」版と、通常のリリース版があります。
- LTS版:長期サポートが提供されるバージョンで、2年に1度(偶数年の4月)にリリースされます。最新のUbuntu 24.04 LTS(Noble Numbat) は2024年4月にリリースされ、標準で5年間のサポートが提供されます。さらにUbuntu Proに登録すれば10年、Legacy add-onを利用すれば最大15年のサポート延長も可能です。
- 通常版:6ヶ月ごとにリリースされ、サポート期間は9ヶ月と短めです。最新の機能をいち早く試したい場合に向いていますが、長く使い続けるならLTS版が無難です。
ミニPCにUbuntuをインストールして長く使いたいという場合は、Ubuntu 24.04 LTSまたはUbuntu 22.04 LTS(Jammy Jellyfish) を選ぶとよいでしょう。Ubuntu 22.04 LTSは2022年4月リリースで、こちらも標準サポートは2027年4月までとなっています。
インストール前に確認すべきシステム要件
Ubuntuを動作させるには、以下のシステム要件を満たしている必要があります。
- プロセッサ:2 GHz以上のデュアルコアプロセッサ
- メモリ:4 GB以上のシステムメモリ
- ストレージ:25 GB以上の空き容量
これらの要件は、Ubuntu公式サイトでも公開されているものです。最近のミニPCであれば、ほとんどの製品がこの要件をクリアしています。ただし、極端に低スペックなモデルや、ARMアーキテクチャのCPUを搭載したミニPCは非対応の場合があるため、事前に確認しておきましょう。
ミニPCにUbuntuをインストールする手順
ここからは、実際にミニPCにUbuntuをインストールする手順を、準備から完了後まで順を追って説明します。
インストールメディア(USB)の作成方法
Ubuntuのインストールには、ブータブルUSBメモリを作成する必要があります。USBメモリは8 GB以上の容量があるものを用意してください。
- Ubuntu公式サイトからISOイメージをダウンロードする
Ubuntu日本語公式サイト(https://jp.ubuntu.com/download)にアクセスし、インストールしたいバージョンのISOファイルをダウンロードします。ファイルサイズは約5.7 GBあるので、通信環境に注意してください。 - ブータブルUSB作成ツールを用意する
ISOイメージをUSBメモリに書き込むには、専用のツールが必要です。代表的なツールとして以下のものがあります。
- Rufus:Windows向けの軽量ツールで、シンプルかつ高速に書き込みができます。Windowsユーザーに広く使われている実績のあるツールです。
- balenaEtcher:Windows・macOS・Linuxに対応したクロスプラットフォームのツールです。UIが直感的で、初心者にも使いやすいのが特徴です。
- USBメモリにISOイメージを書き込む
用意したツールを起動し、ダウンロードしたISOファイルとUSBメモリを選択して書き込みを実行します。この操作を行うとUSBメモリ内のデータはすべて消去されるので、重要なデータが入っていないことを必ず確認してください。
BIOS/UEFI設定でUSBブートを有効にする
USBメモリができたら、ミニPCを再起動し、BIOSまたはUEFI設定画面を開きます。起動直後に「F2」「Del」「Esc」などのキーを押すと設定画面に入れます(メーカーによって異なります)。
設定画面では、ブート順序(Boot Order) を変更し、USBメモリが最優先で起動されるようにしてください。最近のミニPCでは、起動時に「F12」などで一時的にブートデバイスを選べるものもあります。
インストーラを起動して設定を進める
USBブートが成功すると、Ubuntuのインストーラが起動します。最初に言語を選び、「Ubuntuをインストール」をクリックします。
その後、以下のような設定画面が表示されます。
- キーボードレイアウト:日本語キーボードを使用する場合は「日本語」を選択します。
- アップデートとその他のソフトウェア:「通常のインストール」または「最小インストール」を選べます。通常は「通常のインストール」で問題ありません。
- インストールの種類:ここが最も注意が必要なポイントです。
パーティション設定の注意点
「インストールの種類」では、以下のような選択肢が表示されます。
- ディスクを削除してUbuntuをインストール:ミニPC内の全データを消去し、Ubuntuだけの環境になります。Windowsがプリインストールされている場合、この選択をするとWindowsは完全に消去されるので注意してください。
- UbuntuをWindowsと一緒にインストール(デュアルブート):既存のWindowsを残したまま、Ubuntuを追加でインストールできます。起動時にどちらのOSを使うか選択できるようになります。
- その他(手動パーティション設定):自分でパーティションを細かく設定したい上級者向けのオプションです。
初心者の方は「ディスクを削除してUbuntuをインストール」または「UbuntuをWindowsと一緒にインストール」のどちらかを選ぶとスムーズです。どちらを選ぶ場合でも、インストールを実行する前に大切なデータは必ず外部にバックアップしておいてください。
インストール完了後の初期設定
インストールが完了すると、再起動を促すメッセージが表示されます。その際に「USBメモリを抜いてからEnterキーを押す」ように指示があるので、指示に従ってUSBメモリを抜いてください。
再起動後は、以下の初期設定を行います。
- ユーザー名とパスワードの設定:ログインに使うアカウントを作成します。パスワードは忘れないようにメモしておきましょう。
- 日本語入力の設定:デフォルトでは英語キーボード設定になっていることがあるので、日本語入力ができるように設定を変更します。「設定」→「地域と言語」から日本語を追加し、「IBus」や「Mozc」などの日本語入力メソッドを有効にします。
ミニPCにUbuntuをインストールする際のよくあるトラブルと対策
インストール中やインストール後に、いくつかのトラブルが発生することがあります。ここでは代表的な問題とその対策を紹介します。
Wi-Fiが認識されない場合の対処法
ミニPCにUbuntuをインストールした後で、Wi-Fiが認識されないというトラブルは非常によく発生します。これは、ミニPCに搭載されているWi-Fiチップのドライバが、Ubuntuにデフォルトで含まれていないことが原因です。
特にRealtek製のWi-Fiチップ(例:RTL8821CEなど)は、古いバージョンのUbuntuではドライバが標準搭載されておらず、追加インストールが必要になるケースが多く報告されています。
対策としては以下のような方法があります。
- 有線LAN(イーサネット)で一時的に接続する:有線LANケーブルをミニPCに直接接続し、ネットワークにつなぎます。その後、追加のドライバをインストールすることでWi-Fiが使えるようになる場合があります。
- Ubuntuのバージョンを24.04 LTSにする:新しいハードウェアへの対応は、新しいバージョンのUbuntuほど進んでいます。Wi-Fiが認識されない場合は、Ubuntu 22.04 LTSではなくUbuntu 24.04 LTSを試すことで解決することがあります。
- ドライバを手動でインストールする:どうしても認識されない場合は、ターミナルから該当するドライバを手動でインストールする方法もあります。ただし、この作業はやや上級者向けです。事前に自分のミニPCがどのWi-Fiチップを搭載しているかを調べ、Ubuntuコミュニティの情報を参考にしながら進めるとよいでしょう。
Wi-Fiが使えない状態では、インストール後のアップデートもできないため、最初から有線LANを用意しておくのが確実です。
インストール後に画面解像度がおかしい場合
グラフィックドライバが適切に認識されていないと、画面解像度が正しく設定されないことがあります。特にIntelやAMDの内蔵GPUは標準でサポートされることが多いですが、NVIDIAのGPUを搭載している場合は、追加のドライバインストールが必要になることがあります。
「設定」→「ディスプレイ」から解像度を変更できるか確認し、それでも改善しない場合は、追加ドライバのインストールを検討してください。
起動時にUSBメモリを抜くのを忘れた場合
インストール後の再起動時に、「USBメモリを抜いてください」という指示を無視してそのまま起動しようとすると、再度インストーラが起動してしまうことがあります。その場合は、一度電源を切り、USBメモリを抜いてから再度電源を入れれば通常通りUbuntuが起動します。
Ubuntuインストールに向いているミニPCの選び方
「まだミニPCを購入していないけれど、Ubuntuを入れたい」という方向けに、ミニPCを選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。
公式対応の有無を確認する
一部のミニPCメーカーでは、LinuxやUbuntuへの対応を公式に案内している製品があります。たとえば、GEEKOM Japanの公式サイトでは、Linux対応のミニPC製品が紹介されており、UbuntuやDebian、Fedoraなどの主要ディストリビューションに対応しているとされています。また、デュアルブート対応や省電力・24時間稼働に適している点も特徴として挙げられています。
公式にLinux対応を謳っている製品は、ドライバ面でのトラブルが少ない傾向があるため、初めてUbuntuを導入する方にも安心です。
Wi-Fiチップの互換性を事前に調べる
前述の通り、ミニPCでUbuntuを導入する際に最もつまずきやすいのがWi-Fiの問題です。購入前に、搭載されているWi-Fiチップの型番を調べ、それがUbuntuでサポートされているかどうかを確認しておくと安心です。
「Realtek RTL8821CE」「Intel AX200」「Intel AX210」など、よく使われるWi-Fiチップの型番は多くの情報が公開されています。購入前に「Ubuntu + チップ名」で検索し、問題なく動作するかどうかの情報を確認しておくことをおすすめします。
メモリとストレージは余裕を持って
Ubuntuのシステム要件は4 GBメモリ、25 GBストレージですが、快適に使うには8 GB以上のメモリと256 GB以上のSSDがあるとよいでしょう。特にブラウザを複数タブ開いたり、開発環境を構築したりする場合はメモリが多く必要になります。
また、ミニPCの中にはストレージがeMMC(組み込み型フラッシュメモリ)のものもありますが、SSD搭載モデルの方が速度面で快適です。
ミニPCにUbuntuをインストールする前に知っておきたい注意点
ここまででUbuntuのインストール手順やミニPCの選び方を説明してきましたが、最後にいくつか注意点をまとめておきます。
- データのバックアップは必ず取る:インストール作業中にデータが消えるリスクがあります。特に「ディスクを削除してUbuntuをインストール」を選ぶ場合は、ミニPC内のデータがすべて消去されることを前提に、必要なデータは事前に外部ストレージやクラウドにバックアップしてください。
- インストール中はUSBメモリを絶対に抜かない:書き込み中にUSBメモリを抜くと、インストールが失敗し、OSが起動しなくなる可能性があります。インストールが完了し、再起動の指示があるまではUSBメモリを挿したままにしてください。
- 電源が切れない環境で作業する:インストール中に停電や誤って電源を切ってしまうと、システムが破損する恐れがあります。可能であればバッテリー駆動のノートPCではなく、安定した電源環境で作業しましょう。
- 購入前に公式情報を確認する:ミニPCの仕様や対応OSについては、各メーカーの公式サイトで最新情報を確認するのが確実です。価格やキャンペーン情報も変動することがあるため、購入時点で改めて確認することをおすすめします。
まとめ:ミニPCとUbuntuの組み合わせで新しい使い方を
ミニPCにUbuntuをインストールする手順は、特別な知識がなくても公式のガイドや今回紹介したステップに沿って進めれば、十分に実現可能です。省スペースで高性能なミニPCと、安定性と自由度の高いUbuntuの組み合わせは、デスクトップ環境としても、自宅サーバーとしても、とても魅力的な選択肢になります。
ただし、インストールには慎重な準備と作業が必要です。特にWi-Fiドライバの問題やパーティション設定の誤りには注意し、わからないことがあればUbuntuの公式ドキュメントや日本語コミュニティの情報も参考にしながら進めてみてください。
この記事が、あなたのミニPCへのUbuntuインストールをスムーズに進めるための手助けになれば幸いです。

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