最近、自作PCの世界で「Minisforum ITX」という言葉をよく見かけるようになりました。一般的なMini-ITXマザーボードとはひと味違う、コンパクトながら高い性能を実現する製品群です。
この記事では、Minisforumが展開するITXシリーズの特徴や、各モデルの違い、自分に合った選び方を詳しく解説します。購入を検討している方や、どんな製品があるのか知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
Minisforum ITXシリーズの特徴とは?
まず最初に知っておきたいのは、MinisforumのITXシリーズが「MODT(Mobile on Desktop)」というコンセプトに基づいていることです。
MODTとは、ノートPC向けに設計された高性能なモバイルCPUを、デスクトップ用のマザーボードに搭載するという考え方。一般的なMini-ITXマザーボードのようにCPUソケットがあり、自分でCPUを選んで取り付けるのではなく、CPUがあらかじめ基板に直付けされているのが大きな特徴です。
そのため、CPUを別途購入する必要がなく、省スペースながらノートPC並みの電力効率の良さを実現しているのが魅力です。放熱設計も最適化されており、コンパクトなケースでも高い性能を発揮しやすいように作られています。
また、Mini-ITXフォームファクターなので、市販の小型ケースに組み込めるのもポイント。一般的なATX電源が使えるモデルが多く、拡張性もある程度確保されています。
注意したい点
CPUが交換できないということは、購入時に搭載されているCPUで性能が決まるということ。あとからアップグレードしたい場合は、マザーボードごと交換する必要がある点は覚えておきましょう。また、メモリは一般的なDIMMではなく、SODIMM(ノートPC用の小型メモリ) を使う点も注意が必要です。
Minisforum ITXシリーズの主なモデルと選び方
現在、Minisforumからは複数のITXマザーボードが発売されています。大きく分けると、AMD Ryzen搭載モデルとIntel Core搭載モデルの2系統があります。
それぞれ特徴が異なるので、自分の用途や予算に合わせて選ぶことが大切です。
AMD Ryzen搭載モデル:ゲームやクリエイティブワークに強い
AMD搭載モデルは、特にゲーミング性能とマルチスレッド性能のバランスに優れています。最新モデルでは、3D V-Cache技術を採用したCPUを搭載しており、ゲームのフレームレート向上に大きく貢献します。
Minisforum BD790i X3D
Minisforum ITXシリーズのフラッグシップモデルと言えるのが、このBD790i X3Dです。
搭載されているのは、AMD Ryzen 9 7945HX3DというCPU。16コア32スレッドで、最大5.4GHzまで動作します。特に注目したいのが144MBという巨大なL3キャッシュ。ゲームによっては、このキャッシュ容量が大きなアドバンテージになり、快適なプレイ環境を実現します。
拡張性も非常に高く、PCIe 5.0 x16スロットを1基搭載。最新のグラフィックボードを挿せます。ストレージ用のM.2スロットも2基あり、こちらもPCIe 5.0に対応しているので、超高速なSSDが使えます。
メリット
- ゲーム性能が特に高い
- PCIe 5.0対応で将来性がある
- 高いマルチスレッド性能
デメリット
- 価格が高め(約$599〜$770)
- オーバースペックになる場合も
向いている人
- ハイエンドなゲーミングPCをコンパクトに作りたい人
- 動画編集や3Dレンダリングなども行うクリエイター
- 予算に余裕があり、最高スペックを求める人
向いていない人
- コストパフォーマンスを最優先したい人
- そこまで高いゲーム性能を必要としない人
購入前の注意点
メモリはSODIMM規格のDDR5(最大96GB)に対応しますが、一般的なDIMMは使えないので注意しましょう。
Minisforum BD895i SE
BD790i X3Dのひとつ下のモデルとして登場したのが、このBD895i SEです。
CPUはAMD Ryzen 9 8945HXを搭載。コア数は同じ16コア32スレッドで、最大クロックも5.4GHzと非常に高い性能を持ちます。L3キャッシュは64MBと、X3Dモデルよりは少ないですが、それでも十分な容量です。
メリット
- X3Dモデルより手頃な価格
- マルチスレッド性能が高い
- PCIe 5.0 x16スロットを搭載
デメリット
- L3キャッシュがX3Dモデルより少ない
- M.2スロットがPCIe 4.0対応(2基)
向いている人
- ゲームだけでなく、動画編集なども行うユーザー
- コストと性能のバランスを重視する人
向いていない人
- とにかくゲーム性能を極限まで追求したい人
- 最新のPCIe 5.0 SSDを複数使いたい人
購入前の注意点
メモリは同じくSODIMMのDDR5を使用します。海外ではBD795i SEの後継モデルとして位置付けられており、価格は€439程度から販売されています。
Intel Core搭載モデル:ストレージ拡張に優れる
Intel派のユーザーにおすすめなのが、こちらのARシリーズです。
Minisforum AR900i
AR900iは、Minisforumが初めて投入したIntel製CPU搭載のMODTマザーボードです。
Intel Core i9-13900HXを搭載。24コア32スレッドと、非常に多くのコア数を持ちます。特筆すべきはM.2スロットが4基も搭載されている点。多くのストレージを搭載したいユーザーにとっては大きな魅力です。
メリット
- M.2スロットが4基と多く、ストレージ拡張性が高い
- Intelプラットフォームならではの選択肢
- PCIe 5.0 x16スロット搭載
デメリット
- 発売から時間が経過している
- AMD最新モデルと比較すると電力効率で劣る可能性
向いている人
- Intel CPUにこだわりがある人
- 多くのSSDを搭載してデータサーバーや動画編集マシンを作りたい人
向いていない人
- 最新のAMDモデルと比較してコストパフォーマンスを重視する人
- 消費電力を気にする人
購入前の注意点
発売時の価格は$575でした。現在は後継モデルが出ている可能性もあるため、公式サイトで在庫状況を確認するのがよいでしょう。
関連製品:マザーボードだけじゃない選択肢
MinisforumのITX関連製品には、マザーボード単体だけでなく、PC完成品のモデルもあります。
Minisforum 790S7
790S7は、AMD Ryzen 9 7940HXを搭載した7リットルサイズの小型デスクトップPCです。
マザーボード単体ではなく、ケースや電源がセットになったボアボーンキット($459〜)や、メモリやストレージが搭載済みの完成品($939〜)が販売されています。ロープロファイルのグラフィックボードも搭載可能で、すぐに使えるコンパクトPCを探している人に向いています。
向いている人
- 自分でケースや電源を選ぶ手間を省きたい人
- コンパクトなPCをすぐに使いたい人
向いていない人
- 自分好みにカスタマイズしたい上級者
- フルサイズのグラフィックボードを搭載したい人
Minisforum ITXを選ぶときの比較ポイント
複数のモデルがあって迷ってしまう方のために、選ぶときに注目すべきポイントを整理しました。
1. 搭載CPU(AMD vs Intel)
まずは、AMDとIntelのどちらのCPUが自分の用途に合うかを考えましょう。ゲーム重視なら3D V-Cache搭載のAMDモデルが強力です。マルチタスクやクリエイティブワークも行うなら、AMDでもIntelでも高性能なモデルが揃っています。
2. メモリ規格(SODIMM)
いずれのモデルも、メモリはSODIMM規格です。手持ちのデスクトップ用メモリが使えない点は注意しましょう。
3. 拡張スロット(PCIeバージョン、M.2スロット数)
グラフィックボードを挿す予定があるなら、PCIe x16スロットの有無とバージョン(5.0か4.0か)を確認しましょう。ストレージを多く使うなら、M.2スロットの数も重要な判断材料です。
4. 価格帯
予算に応じて選びましょう。フラッグシップのBD790i X3Dは高性能ですが価格も高め。BD895i SEはそのバランスが取れたモデルです。
よくある質問
Q. グラフィックボードは使えますか?
はい。PCIe x16スロットが搭載されているので、グラフィックボードを挿せます。ただし、ケースのサイズによって物理的に搭載できない場合があるので、使用するケースのスペックは事前に確認しましょう。
Q. CPUは交換できますか?
いいえ。CPUはマザーボードに直付けされているため、交換はできません。購入時に搭載されているCPUがそのまま使い続けることになります。
Q. 電源は何を選べばいいですか?
いずれのモデルもATX電源が使えます。搭載するCPUやグラフィックボードに合わせて、適切な容量(おおよそ200W以上)の電源を用意しましょう。
Q. メモリは何を使えばいいですか?
SODIMM規格のDDR5メモリを使用します。一般的なデスクトップ用のDIMMメモリは使えないので、購入時に間違えないように注意してください。
まとめ:自分に合ったMinisforum ITXを見つけよう
Minisforum ITXシリーズは、コンパクトながらハイスペックなPCを自作したい方にとって、非常に魅力的な選択肢です。
- 最高のゲーム性能を求めるなら:BD790i X3D
- コスパと性能のバランスを重視するなら:BD895i SE
- Intel派でストレージを多く積みたいなら:AR900i
- マザーボード選びから解放されたいなら:790S7
それぞれのモデルに特徴があり、メリットだけでなくデメリットもあるので、自分の用途や予算としっかり照らし合わせて選ぶことが大切です。価格や在庫状況は変動する場合があるので、購入前に公式サイトや販売ページで最新情報を必ず確認してください。
Minisforum ITXシリーズで、理想のコンパクトPCを作ってみてはいかがでしょうか。

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