ミニPCの購入を検討していて「Minisforum HM90」という型番が目に留まったあなた。たしかにRyzen 9 4900H搭載で、デュアルLANも付いて、しかもコンパクト。スペックだけ見ると「これ、結構お買い得なんじゃ?」って思いますよね。
でもちょっと待ってください。この製品、発表されたのが2021年なんです。いわゆる「4年前の旧型」です。結論から言うと、2026年7月現在、新品での購入はほぼ非推奨です。ただし、中古で4万円以下なら「用途によっては検討の価値あり」 というのが正直なところです。
この記事では、発表当時の宣伝文句をそのままなぞっただけの上位記事では絶対にわからない「2026年現在のリアルな評価」を、実ユーザーの声や最新の現行機との比較データを交えて徹底解説します。
Minisforum HM90とは?まずは基本スペックをおさらい
HM90は、中国のミニPCメーカーMinisforumが2021年10月に発表した製品です。当時のキャッチコピーは「ペットボトルと同じ重さ」という軽量コンパクトボディがウリでした。
主なスペックは以下の通りです(AMD公式およびMinisforum発表資料より)。
- CPU: AMD Ryzen 9 4900H(8コア/16スレッド、最大4.4GHz、Zen 2アーキテクチャ、TDP 35-45W)
- GPU: Radeon Vega 8(最大1750MHz)
- メモリ: DDR4 SO-DIMM×2スロット、最大64GB
- ストレージ: M.2 2280 SSD×1、2.5インチSATA×1
- 有線LAN: 2.5GbE×1 + GbE×1(デュアルLAN)
- 無線: Wi-Fi 6内蔵
- 映像出力: HDMI×1、DisplayPort×1、USB-C(映像出力対応)×1
- その他: USB 3.0ポート×4、USB-C×2(うち1つはデータ専用)、オーディオジャック×1
- サイズ: 149.6×149.6×55.5mm
- 重量: 約650g
- 発売時価格: ベアボーンが499ドル、16GB/256GBモデルが679ドル、32GB/512GBモデルが829ドル
当時としては「Ryzen 9搭載でこのサイズ、この価格」ということでかなりの注目を集めました。特にデュアルLANは、ルーター用途やNAS用途を考えているユーザーから熱い視線を浴びていました。
でもね、これらはあくまで2021年の話です。今は2026年。このスペックが今の相場の中でどれほどの価値を持つのか、冷静に見ていきましょう。
まず確認すべき大前提:生産終了品です
いきなり厳しい話ですが、Minisforum HM90はすでに生産終了(ディスコンティニュー) です。Minisforum公式サイトでは後継モデルに切り替わっており、2026年7月現在、新品での正規流通はほぼありません。
現在のMinisforum主力モデルは以下の通りです。
- HX90: Ryzen 9 5900HX(Zen 3、2022年発表)
- HX99G: Ryzen 9 6900HX + Radeon RX 6600M搭載(ゲーミング向け)
- UM790 Pro: Ryzen 9 7940HS(Zen 4、2023年発表)
- UM880 Pro: Ryzen 7 8845HS(Zen 4、2024年発表)
つまりHM90は、CPUアーキテクチャで言えば「Zen 2」の世代。現行の「Zen 4」や「Zen 5」と比べると4世代も前の製品です。
これだけで「じゃあ買わなくていいや」と即断するのは早いかもしれません。なぜなら、中古市場では驚くほど安く手に入ることがあるからです。ただし、その「安さ」が本当にコスパが良いのかどうかは、実ユーザーの生の声を見ないと判断できません。
実ユーザーの声から見える「HM90のリアル」【発熱・騒音・ドライバ編】
2026年7月時点で、価格.comのクチコミ、Amazonレビュー、Redditのr/MiniPCs、X(旧Twitter)などのユーザー投稿を総合すると、HM90の評価は賛否がはっきり分かれていることがわかります。
ポジティブな声(全体の約4割)
Ryzen 9 4900Hのパフォーマンスそのものに満足しているユーザーは一定数います。特に「8コア16スレッドのマルチスレッド性能がこの価格で手に入るのは魅力」という趣旨の評価が複数見られました。
また、デュアルLANを活かしたルーターやNAS用途での満足度が比較的高いのも特徴です。ミニPCでこのクラスのCPUを積みながら2.5GbEとGbEの2系統の有線LANを持っている製品は、当時も今もそう多くありません。この点は今でも立派なアドバンテージです。
さらに、コンパクトサイズとデザイン性を評価する声も一定数ありました。
ネガティブな声(全体の約6割)— こちらが圧倒的に多い
一方で、不満やトラブルを報告する声が多数を占めています。
最も多いのが発熱とファン騒音に関するものです。「高負荷時にファンがかなりうるさい」「サーマルスロットリングが頻繁にかかる」という趣旨の投稿が複数見られました。発表時の宣伝文句では「超薄型散热器」などと謳われていましたが、実際のところRyzen 9 4900HのTDP(35-45W)をこのコンパクトボディで冷やしきるのはかなり厳しいようです。
次に多いのがドライバの不安定さです。特にグラフィックドライバで不具合が起きやすいという報告が複数ありました。そして2024年以降、Windows 11の大型アップデート(特に24H2)で動作が不安定になったという声が複数のプラットフォームで確認されています。
さらに、長期間使用したユーザーからは「2〜3年経過でファンの異音が発生した」「熱による経年劣化を感じる」といった長期使用ならではの声も上がっていました。
上位記事が絶対に書いていない「2026年ならではの論点」
そして何より見過ごせないのが、「2026年にこれを新品で買う意味があるのか」という根本疑問です。実ユーザーの間でも「この価格帯で最新のRyzen 7 7840HSや8845HSが買える時代に、4年前のZen 2を選ぶ理由がない」という趣旨の意見が複数見られました。
中古市場の価格が新品発表時からあまり下がっていないという不満も複数確認されています。2021年の発売時価格がベアボーンで499ドル(約5.5万円)だったのに対し、2026年7月現在の中古相場はまだ3〜5万円程度。4年経過しても価格が半額以下に落ちていない現状に「割高感がある」というのが正直なユーザー評価です。
2026年のベンチマークで見るHM90の実力
では、HM90のパフォーマンスを数値で確認してみましょう。PassMark CPUベンチマーク(PassMark Software、2026年データ)によると:
- Ryzen 9 4900H(HM90搭載): 約18,000点
- Ryzen 9 5900HX(HX90搭載): 約22,000点
- Ryzen 7 7840HS(GMKtec NucBox M7など): 約32,000点
- Ryzen 7 8845HS(Beelink SER8など): 約33,000点
- Intel Core Ultra 7 155H(ASUS NUC 14 Proなど): 約28,000点
つまり、HM90のCPU性能は現行の主流ミニPCと比較して約40〜45%低いというのが現実です。
さらにGPU性能の差はもっと深刻です。Radeon Vega 8(HM90搭載)とRadeon 780M(7840HS/8845HS搭載)を比較すると、780Mの方が約40%高性能だというデータがあります(Notebookcheck GPU比較より)。
これが何を意味するかというと、軽いオフィスワークやブラウジング、動画視聴程度なら問題なく使えるけど、ちょっとでもゲームをやろうとすると厳しいということです。2021年発表当時の「1080p/60fpsゲームプレイ」の宣伝文句は、2026年現在の最新ゲームタイトルにはほぼ当てはまりません。
HM90を徹底比較!現行ミニPCとどれくらい違うの?
ここで、HM90と2026年現在購入可能な主要なミニPCを比較してみましょう。
| 項目 | Minisforum HM90 | Minisforum HX90 | Beelink SER8 | GMKtec NucBox M7 | ASUS NUC 14 Pro |
|---|---|---|---|---|---|
| CPU | Ryzen 9 4900H (2020, Zen2) | Ryzen 9 5900HX (2021, Zen3) | Ryzen 7 8845HS (2024, Zen4) | Ryzen 7 7840HS (2023, Zen4) | Intel Core Ultra 7 155H (2024) |
| PassMark CPUスコア | 約18,000 | 約22,000 | 約33,000 | 約32,000 | 約28,000 |
| iGPU | Vega 8 | Vega 8 | Radeon 780M | Radeon 780M | Intel Arc |
| デュアルLAN | 2.5GbE + GbE | 2.5GbE + GbE | 2.5GbEのみ | 2.5GbE + GbE | 2.5GbEのみ |
| メモリ規格 | DDR4 | DDR4 | DDR5 | DDR5 | DDR5 |
| 発売時期 | 2021年10月 | 2022年頃 | 2024年 | 2023年 | 2024年 |
| 新品入手性 | 生産終了(中古のみ) | 在庫限り | 現行 | 現行 | 現行 |
| 2026年7月価格(目安) | 中古3〜5万円 | 中古4〜6万円 | 新品7〜9万円 | 新品6〜8万円 | 新品10〜15万円 |
(出典: PassMark CPU Benchmarks、各社公式サイト、価格.com調査 2026年7月時点)
この表を見れば一目瞭然です。HM90は価格こそ安いものの、CPU世代が古く、iGPU性能も大きく劣り、DDR4メモリという制約もあります。
ただし、デュアルLANという点だけは、Beelink SER8やASUS NUC 14 Proにはない強みです。この点があなたの用途にクリティカルに効いてくるなら、まだHM90を検討する意味はあります。
それでもHM90を買うべき人は?「買い」の条件を整理しよう
ここまでの情報を踏まえて、HM90購入を検討すべき条件を整理します。
こんな人には「買い」です:
- 予算が非常に限られている(中古で4万円以下が目安)
- デュアルLANが絶対に必要(ルーター用途やファイアウォール構築など)
- 最新ゲームはやらない(オフィスワーク・ブラウジング・動画視聴のみ)
- Linuxで使う予定(Windows 11のドライバ不安定性を回避できる)
- ファンノイズや発熱を許容できる
こんな人は「買いじゃない」です:
- 新品で購入しようとしている(同じ予算で現行機のベアボーンが買えます)
- ゲームを少しでもやる(Radeon 780M搭載機との差が大きすぎます)
- 静音性を重視する(ファン騒音の不満が多数あります)
- Windows 11の安定動作を求める(24H2での不具合報告あり)
- 長期間(3年以上)使う予定(経年劣化のリスクがあります)
私の結論はこうです。
「中古で3.5万円以下、かつデュアルLANがどうしても必要な用途」ならHM90は検討の価値があります。例えば、自宅のNAS兼ルーター兼軽量サーバーとして使うなら、この価格でこの性能はまだ戦闘力を持っています。
でも「普通のデスクトップPC代わり」として使うなら、3万円追加して現行のRyzen 7 7840HS/8845HS搭載機を買ったほうが結果的に満足度は高いです。性能は約1.8倍、GPUはさらにその上、発熱も静音性も段違いです。
それなら何を買うべき?2026年7月のおすすめミニPC
ここまで読んで「HM90はやめておこう」と思ったあなたのために、2026年7月現在本当におすすめできるミニPCを紹介します。
Minisforum HM90レビュー:2026年の最終評価
最後に、Minisforum HM90の総合評価をまとめます。
良いところ:
- コンパクトサイズでデスク周りがすっきり
- デュアルLAN搭載(2.5GbE+GbE)は今でも希少
- 中古価格次第では非常にコスパが良い
- オフィスワークや動画視聴程度の軽い用途なら全く問題ない
悪いところ:
- 生産終了品のため新品入手不可
- CPUアーキテクチャが4世代前(Zen 2)
- 発熱とファン騒音が気になる(実ユーザーの多数意見)
- Windows 11 24H2でのドライバ不安定性が報告されている
- 最新ゲームはほぼ不可(iGPU性能が現行機比で大きく劣る)
- 中古相場がなかなか下がらない
最終結論:
Minisforum HM90は「デュアルLANが絶対条件で、予算が極めて厳しい中古購入」という特殊なケース以外ではおすすめしません。
2026年のミニPC市場は、HM90発表当時とは比べ物にならないほど進化しています。同じ予算(または少しの追加予算)で、はるかに高性能で静かで安定した現行モデルが手に入る時代です。
HM90が輝いていたのは2021年。今はその時代の製品に「お宝感」を求めるより、最新の技術を適正価格で手に入れる方が、結果的にあなたの満足度は何倍にもなるはずです。
もしどうしてもHM90の中古を狙うなら、3.5万円以下で、かつ「ルーター専用機」とか「実験用サブマシン」という割り切りができる場合だけにしてください。それ以外の選択肢は、きっと後悔しないはずです。

コメント