Minisforum BD790i X3Dとは?どんなマザーボード?
「BD790i X3D」は、Mini-ITX規格のマザーボードです。
最近、自作PCの世界で「MoDT」という言葉を耳にする機会が増えました。Mobile on Desktopの略で、モバイル向けの高性能CPUをデスクトップ用のマザーボードに搭載するプラットフォームのことです。
Minisforum BD790i X3Dは、まさにこのMoDTを代表する製品のひとつ。なんと、AMDの最上位モバイル向けCPUである「Ryzen 9 7945HX3D」を最初からオンボードで搭載しています。
CPUを自分で選んで取り付ける必要がなく、マザーボードとCPUがセットになった状態で届くので、自作PCの組み立て初心者~中級者にとっては非常に大きなメリットがあります。加えて、大型のヒートシンクも標準で付属。別途CPUクーラーを用意する手間が省けるのも嬉しいポイントです。
「コンパクトなPCケースで、最高峰のゲーム体験をしたい」「自作PCに挑戦してみたいけど、CPUの選択や取り付けが不安」という方に、ぜひ知っておいてほしい製品です。
気になるCPU性能:Ryzen 9 7945HX3Dの実力
BD790i X3Dの心臓部は、Ryzen 9 7945HX3Dです。
このCPUは、16コア/32スレッドという驚異的なマルチコア性能を持ちながら、最大動作クロックは5.4GHzに達します。そして何より特筆すべきは、AMDのゲーミング技術「3D V-Cache」を搭載している点です。
3D V-Cacheとは、CPUのL3キャッシュを3次元的に積層することで、大容量のキャッシュメモリを実現する技術。このBD790i X3Dに搭載されるRyzen 9 7945HX3Dは、合計で128MBものL3キャッシュを持つことになります。
この大容量キャッシュは、特にゲーム性能に大きく貢献します。一般的なゲームタイトルでは、キャッシュメモリが多いほどCPUとメモリ間のデータ転送が効率化され、フレームレートの向上やカクつきの軽減が期待できるのです。PC Watchのレビューでも、Ryzen 9 7950X(デスクトップ向け最上位モデル)と比較しても遜色ないゲーム性能を発揮することが報告されています。
つまり、この1枚のマザーボードがあれば、ハイエンドのゲーミングPCを組むための土台がほぼ完成する、ということです。
徹底チェック:BD790i X3Dの主要スペック
ここでは、BD790i X3Dの詳細なスペックを整理します。
フォームファクターと対応ソケット
- フォームファクター:Mini-ITX(170mm x 170mm)
- CPUソケット:非搭載(CPUオンボード)
一般的なMini-ITXケースにほぼ全て対応するサイズ感です。CPUが固定されているため、CPUクーラー取り付け用のバックプレートが不要なのも特徴的です。
対応メモリ
- メモリ規格:DDR5 SO-DIMM × 2スロット
- 最大容量:96GB(48GB x 2)
- 対応速度:5200MT/sまで
ここで大きな注意点です。BD790i X3Dに対応するメモリは、一般的なデスクトップ用のDIMMではなく、ノートPCなどで使われるSO-DIMM規格です。手持ちのデスクトップ用メモリは流用できないので、新たにSO-DIMMのDDR5メモリを用意する必要があります。
拡張スロットとストレージ
- 拡張スロット:PCIe 5.0 x16 × 1(グラフィックボード用)
- M.2スロット:M.2 2280(PCIe 5.0 x4)× 2
PCIe 5.0に対応しているため、最新のグラフィックボードや超高速SSDの性能をフルに活かせます。M.2スロットも2つ搭載されているので、ストレージの拡張性も十分です。高速なM.2 SSD PCIe 5.0を選ぶことで、システム全体のキビキビした動作を実感できるでしょう。
ネットワーク機能
- 有線LAN:2.5GbE(2.5ギガビットイーサネット)
- 無線LAN:Wi-Fi 6E
- Bluetooth:5.3
有線・無線ともに最新世代の規格に対応。Wi-Fi 6Eは6GHz帯を利用できるため、混雑した環境でも安定した高速通信が可能です。
その他インターフェース
- 映像出力:HDMI、DisplayPort(内蔵GPU Radeon 610M用)
- USBポート:USB 3.2 Gen2 Type-A / Type-C など
内蔵GPU(Radeon 610M)も搭載しているので、グラフィックボードを挿さなくてもPCを起動して設定を行うことは可能です。ただし、ゲームやクリエイティブ作業を快適に行うには、別途高性能なグラフィックボードの導入が必須となります。
BD790i X3Dの価格とコストパフォーマンス
気になる価格は、99,980円(税込)です。2025年3月下旬の発売開始時からこの価格で提供されています。
この価格には、以下のものがすべて含まれています。
- Ryzen 9 7945HX3D(CPU)
- Mini-ITXマザーボード
- 大型CPUヒートシンク
仮にデスクトップ用のCPU「Ryzen 9 7950X」と同等の性能を持つマザーボードを別々に購入しようとすると、CPUだけで10万円近く、マザーボードにも2〜3万円程度のコストがかかります。それに加えて、高性能なCPUクーラーも必要です。
そう考えると、BD790i X3Dの99,980円という価格は、ハイエンドゲーミングPCを組むための入り口として、非常にコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
ただし、メモリ(SO-DIMM)とストレージ(M.2 SSD)、グラフィックボード、電源ユニット、PCケースは別途用意する必要があるので、トータルコストは別途計算する必要があります。
購入前に知っておきたいメリットとデメリット
ここで、BD790i X3Dの良い点と注意点を整理しておきましょう。
メリット
- 圧倒的なコストパフォーマンス:CPU・マザーボード・クーラーがセットでこの価格は、ハイエンド帯では非常に競争力があります。
- 組み立ての手間が大幅に削減:CPUのピン折れリスクがなく、グリスの塗布やクーラー取り付けの複雑さから解放されます。初めてのMini-ITX自作にも最適です。
- コンパクトで高性能:Mini-ITX規格ながら、最新の3D V-Cache搭載CPUにより、ゲーミング性能はデスクトップ最上位クラスに迫ります。省スペースでハイスペックなPCを実現できます。
- 最新スペックに対応:PCIe 5.0やDDR5、Wi-Fi 6Eなど、主要なインターフェースが最新世代なので、将来性も安心です。
デメリット
- CPUのアップグレードが不可:CPUがマザーボードに直付けされているため、将来、より高性能なCPUに載せ替えることはできません。PCの寿命はこのCPUの性能に依存します。
- 専用パーツが必要:メモリがSO-DIMM規格のため、一般的なデスクトップ用メモリが使えません。また、CPUクーラーはヒートシンクのみの付属のため、別途120mmファンを用意する必要があります。
- 拡張性は限定的:Mini-ITX規格の宿命で、拡張スロットはPCIe x16が1つだけです。複数の拡張カードを挿すことはできません。
こんな人におすすめ、こんな人は向いていない
おすすめの人
- コンパクトなPCケースで最高峰のゲーミングPCを組みたい人
- 自作PCに挑戦したいが、CPUの選定や取り付けに不安がある人
- コストを抑えつつ、ハイエンドクラスのCPUパワーを手に入れたい人
- 省スペースでありながら、最新のAAAタイトルを快適にプレイしたい人
向いていない人
- 将来、CPUを最新のものにアップグレードする予定がある人
- 自分好みのCPUクーラーでオーバークロックを楽しみたい上級者
- マルチGPU構成や多数の拡張カードを使う予定がある人
- 予算を最優先にし、もう少し安価な構成を考えている人
よくある疑問(Q&A)
Q1. 付属のヒートシンクだけで使えますか?
いいえ。BD790i X3Dには大型のヒートシンクが付属しますが、冷却用のファンは付属しません。別途120mmサイズのケースファンを用意し、ヒートシンクに取り付けて運用する必要があります。
Q2. どのPCケースに収まりますか?
Mini-ITX規格のマザーボードに対応したケースであれば、基本的に取り付け可能です。ただし、CPUヒートシンクの高さや、グラフィックボードの長さとの干渉には注意が必要です。購入前にケースの対応サイズを確認しましょう。
Q3. グラフィックボードは必須ですか?
内蔵GPU(Radeon 610M)が搭載されているため、PCの起動やWebブラウジングなどの軽い作業であればグラフィックボードなしでも動作します。しかし、ゲームや動画編集などのパフォーマンスを求める作業には、別途グラフィックボードの導入が必須です。
Q4. SO-DIMMメモリは何を選べばいいですか?
DDR5規格のSO-DIMMメモリに対応します。公式サイトでは「5200MT/sまで」と案内されているため、その速度に対応した製品を選ぶとよいでしょう。
比較検討したい:Minisforum BD795i SEとの違い
同じMinisforumのMini-ITXマザーボードシリーズに「BD795i SE」というモデルがあります。こちらはRyzen 9 7945HX(3D V-Cache非搭載)を搭載したモデルです。
BD790i X3Dとの大きな違いは、3D V-Cacheの有無です。これにより、特にゲーム性能に差が出る可能性があります。また、BD795i SEはM.2スロットがPCIe 4.0規格までしか対応していない点も異なります(BD790i X3DはPCIe 5.0対応)。
価格帯はBD795i SEの方が若干安価な傾向にありますが、ゲームをメインに考えるのであれば、BD790i X3Dの方がより高いパフォーマンスを発揮する選択肢になるでしょう。
まとめ:Minisforum BD790i X3Dでコンパクトな最強ゲーミングPCを目指そう
Minisforum BD790i X3Dは、コンパクトながらハイエンドのゲーミング性能を手軽に実現できる、革新的なMini-ITXマザーボードです。
搭載されるRyzen 9 7945HX3Dのパワーと、セット価格である99,980円というコストパフォーマンスの高さは、多くの自作PCファンを魅了することでしょう。
もちろん、SO-DIMMメモリの準備や、CPUファンが別途必要であること、アップグレード性に制限があることなど、押さえておくべきポイントもあります。購入前には、これらの点をしっかり理解した上で、自分の理想のPC構成と照らし合わせてみてください。
この記事が、皆さんのPC選びの参考になれば幸いです。


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