PCのカスタマイズやトラブルシューティングをしていると、どうしても避けて通れないのがBIOS設定ですよね。特にミニPCのMinisforumはコンパクトながら性能が高く、ホームサーバーやLinux環境で使う方も多いですが、「BIOSの入り方がわからない」「設定項目が多くて何をいじればいいのか迷う」という声をよく聞きます。
この記事では、MinisforumシリーズのBIOSアクセス方法から、モデル別の設定ポイント、BIOSアップデート手順までを解説します。これを読めば、あなたのMinisforumをより快適に、思い通りに使いこなせるようになるはずです。
BIOS設定の前に:MinisforumのBIOSアクセス方法
まずは基本中の基本。MinisforumのPCでBIOS(正確にはUEFI)に入る方法から見ていきましょう。
ほとんどのMinisforumモデルでは、電源投入直後にDeleteキーを連打することでBIOS設定画面に入れます。これが一番スタンダードな方法です。
ただし、モデルによっては若干の違いがあるので、以下の方法も覚えておくと便利です。
- ブートメニューを開く:F7キー(多くのモデルで共通)
- Windowsから再起動して入る:Shiftキーを押しながら再起動 → トラブルシューティング → UEFIファームウェア設定
- Linuxから入る:
systemctl reboot --firmware-setupコマンドを実行(特定のモデルで有効)
ポイント:キーを押すタイミングは、電源ボタンを押してからすぐ。タイミングが遅れると通常のOS起動になってしまうので、電源投入直後から連打するのがコツです。
モデル別BIOS設定の特徴と主要オプション
Minisforumは複数のモデルを展開しており、搭載CPUやアーキテクチャによってBIOSの構成や設定項目が異なります。ここでは主要モデルの特徴を押さえていきましょう。
1. Minisforum MS-01(Intelベース)
MS-01はIntelプロセッサを搭載したモデルで、ホームラボ用途で人気があります。
BIOSの特徴としては、アップデート時にUEFI Shellを使う必要がある点です。ただし、BIOSファイルにShell.efiが同梱されていないケースがあるため、別途入手する必要がある場合があります。
主要な設定項目としては、以下のようなものがあります。
- Secure Bootの設定(Linux利用時は無効化推奨)
- ブート順序の変更
- Intel VT-x / VT-d(仮想化機能)の有効化
- TPM 2.0の設定
MS-01のBIOSアップデートで特に注意したいのは、バージョン1.26(2024年10月14日リリース) です。このバージョンでは安定性が向上したという報告があり、長期稼働させているユーザーには特におすすめのアップデートとなっています。
2. Minisforum MS-A2(AMD Ryzen 9 9955HX)
MS-A2はAMDのハイエンドモバイルCPUを搭載したモデルで、AMI製のBIOSを採用しています。設定項目が非常に豊富で、特にAMD CBS(CPU/メモリ/IOの詳細設定) が強力です。
MS-A2のBIOSで注目すべき設定ポイントはこちら。
- AMD CBSメニュー:CPUの動作周波数や消費電力の細かいチューニングが可能
- iGPUメモリ割り当て:内蔵GPUに割り当てるメモリ量(UMA Frame buffer)を変更できる
- PCIeレーン速度:各スロットのリンク速度を設定可能
- RAIDモード:有効にすると複数ドライブを統合できるが、アップデート時に注意が必要
MS-A2は設定項目が非常に多いため、初心者がいじるにはハードルが高い面もあります。とはいえ、デフォルト設定でも十分に動作するので、まずは最低限の設定だけ変更して使い始めるのがおすすめです。
3. Minisforum UM890 Pro(AMD Ryzen)
UM890 ProはAMD Ryzenプロセッサを搭載した人気モデルです。Linuxとの相性が良く、多くのユーザーが愛用しています。
BIOSの特徴は、AMD Configurable TDP(cTDP) が設定できる点です。これにより、消費電力とパフォーマンスのバランスを自分好みに調整できます。
- パフォーマンスモード:最大性能を引き出したい場合に選択
- バランスモード:消費電力と性能のバランスを重視
- iGPUメモリ割り当て:UM890 Proでも内蔵GPUのメモリ割り当て量を変更可能
UM890 ProでLinuxを使う場合は、Secure Bootを無効化する必要があります。また、ブート順序を変更してUSBメモリからインストールできるようにしておきましょう。
4. Minisforum MS-R1(ARMベース)
MS-R1は他のモデルとは一線を画す、ARMアーキテクチャを採用したミニワークステーションです。そのため、BIOSではなく「CIX System Manager」という独自のインターフェースを持っています。
x86のPCとは設定の考え方が異なるので、注意が必要です。
- 小コア(Cortex-A520)の無効化:パフォーマンス向上のために推奨される設定がある
- 消費電力設定:ARMならではの省電力設定が可能
- AI推論関連の設定:45 TOPSのAI性能を活かすためのオプション
MS-R1はx86 PCに慣れている人にはややとっつきにくいかもしれませんが、省電力性やAI処理性能を重視する方には魅力的な選択肢です。
5. Minisforum AI X1 Pro(AMD Ryzen AI搭載)
AI X1 Proは最新のAMD Ryzen AIプロセッサを搭載したモデルで、AIワークロードに最適化されています。
BIOSは標準的なUEFIインターフェースを採用しており、以下のようなポイントがあります。
- systemctl reboot –firmware-setup:LinuxからのBIOSアクセスが可能
- Secure Boot / TPM:Linux利用時は設定の見直しが必要
- NVMe検出:ストレージの認識に関する設定
AI X1 Proは比較的新しいモデルのため、BIOS設定に関する情報はまだ多くありませんが、基本的な操作方法は他のAMDモデルと共通しています。
Minisforumでよく使うBIOS設定項目
モデルを問わず、MinisforumのBIOSでよく設定を変更する項目をピックアップしました。
Secure Bootの設定
特にLinuxをインストールする場合、Secure Bootが有効だと起動できないことがあります。多くのモデルで、Securityタブ内にSecure Bootの設定があり、Disabled(無効) に変更することでLinuxのインストールがスムーズになります。
ブート順序の変更
OSを再インストールするときや、USBから起動したいときはブート順序の変更が必要です。Bootタブで、USBメモリやDVDドライブを一番上に移動させましょう。
多くのモデルでは、ブートメニュー(F7キー)から一時的に起動デバイスを選ぶこともできるので、頻繁に変更する場合はそちらを使うと便利です。
TPM(Trusted Platform Module)の設定
Windows 11のインストールにはTPM 2.0が必須です。Minisforumの多くのモデルではデフォルトで有効になっていますが、もし無効になっている場合はSecurityタブから有効にしましょう。
仮想化機能の有効化
仮想マシンを使う場合や、Dockerなどのコンテナを動かす場合は、CPUの仮想化機能を有効にする必要があります。IntelモデルではIntel VT-x / VT-d、AMDモデルではSVM ModeやIOMMUという名称で設定できます。
Minisforum BIOSアップデートの手順と注意点
BIOSアップデートは、システムの安定性向上や新機能追加のために重要です。ここでは一般的な手順と、特に気をつけるべきポイントを解説します。
アップデート前の準備
- 現在のBIOSバージョンを確認する:BIOS画面のMainタブなどで確認できます
- 公式サイトで最新BIOSをダウンロード:Minisforumのサポートページから該当モデルのBIOSファイルを入手
- USBメモリをFAT32でフォーマット:多くのモデルでFAT32形式が要求されます
- 重要なデータのバックアップ:特にRAIDモードを使用している場合は要警戒
アップデート手順(一般的な流れ)
- ダウンロードしたBIOSファイルをUSBメモリにコピー
- USBメモリをPCに挿入し、BIOS画面を起動
- ブートメニュー(F7)からUSBメモリを選択して起動、またはBIOS内のアップデート機能(E-Z Flashなど)を使用
- UEFI Shellが起動したら、
map -cコマンドでUSBデバイスを確認 fsX:(Xは数字)でUSBドライブに移動EfiFlash.nshなどのスクリプトを実行してアップデート開始- 完了後、システムを再起動
絶対に守ってほしい注意点
- アップデート中は絶対に電源を切らない:これだけでPCが起動不能になるリスクがあります
- RAIDモードを使用している場合は特に慎重に:MS-A2などではBIOSアップデート時に全ハードディスクがフォーマットされる可能性があります
- 最新バージョンのリリースノートを確認する:何が修正・改善されたかを把握しておきましょう
- バッテリーが十分にある環境で実行する:ノートPCタイプの場合は特に
もしアップデートに失敗したら
BIOSアップデートに失敗してシステムが起動しなくなった場合でも、あきらめるのはまだ早いです。
- CMOSクリア:マザーボード上のボタン電池を一時的に外すか、CMOSクリア用のジャンパーピンをショートさせる
- USBリカバリ:特定のモデルでは、USBメモリからリカバリBIOSを読み込める場合がある
これらは少し上級者向けの対処法なので、不安な場合はメーカーサポートに問い合わせるのが確実です。
モデル別BIOS設定の比較まとめ
各モデルのBIOS設定の特徴をざっくり比較してみましょう。
- MS-01(Intel):UEFI Shellを使ったアップデートが特徴。Linux利用時はSecure Boot無効化必須。
- MS-A2(AMD):設定項目が非常に豊富。AMD CBSで細かいチューニングが可能。RAIDモード利用時はアップデートに要注意。
- UM890 Pro(AMD):cTDP設定で消費電力と性能を調整可能。Linuxとの相性が良い。
- MS-R1(ARM):x86とは異なるCIX System Manager。小コア無効化などの独自設定がある。
- AI X1 Pro(AMD Ryzen AI):最新モデル。LinuxからのBIOSアクセスに対応。
どのモデルも、基本的なBIOSアクセス方法(Deleteキー)は共通していますが、設定項目の深さやアップデート手順には違いがあります。
よくある質問とトラブルシューティング
UEFI Shellが起動しないんだけど?
MS-01などで発生しがちな問題です。原因として、BIOSファイルにShell.efiが含まれていないケースがあります。公式サイトからShell.efiを別途ダウンロードしてUSBメモリに配置することで解決することが多いです。
BIOSアップデート後にシステムが起動しなくなった
まずはCMOSクリアを試してみましょう。マザーボード上のボタン電池を外して数分待ち、再度装着することでBIOS設定がデフォルトに戻ります。
LinuxをインストールしたいけどBIOSで何を設定すればいい?
基本的には以下の3つを確認してください。
- Secure Bootを無効化(Securityタブ)
- ブート順序でUSBを優先(Bootタブ)
- 必要に応じてTPMを有効化(Securityタブ)
これでほとんどのディストリビューションがインストールできるはずです。
BIOSの設定項目が多すぎて何をいじればいいかわからない
まずはデフォルト設定のまま使ってみるのがおすすめです。どうしても変更が必要な設定だけを少しずつ変更していきましょう。特にAMD CBSなどの詳細設定は、知識が十分にある場合以外は変更しないほうが無難です。
まとめ
MinisforumのBIOS設定は、モデルによって細かい違いはあるものの、基本的なアクセス方法や操作感は共通しています。この記事で紹介したポイントを押さえておけば、BIOS設定で迷うことはほとんどないはずです。
特に忘れてほしくないのは、以下の3つです。
- BIOSアクセスはDeleteキー(電源投入直後から連打)
- Linux利用時はSecure Bootを無効化するのが基本
- BIOSアップデートは慎重に(特にRAIDモード使用時はデータ損失のリスクあり)
BIOS設定は一度慣れてしまえばそれほど難しいものではありません。この記事を参考に、あなたのMinisforumをより快適に使いこなしてください。
もし設定に不安がある場合は、必ず公式のサポート情報やドキュメントも合わせて確認するようにしましょう。特にRAIDモードの設定変更やBIOSアップデートは、事前のバックアップとリスクの理解が何より大切です。

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