ミニPCの「Minisforum HX99G」を分解したい——そう思ったとき、多くの人が最初にぶつかるのが「具体的な手順がわからない」という壁です。この記事では、HX99Gの分解に必要な工具から、底面カバーの外し方、内部のパーツ構成、そして液晶金属を取り扱う際の注意点まで、実際に作業する目線で詳しく解説していきます。
結論から言うと、HX99Gの分解は不可能ではありませんが、初心者には決して推奨できません。理由は、CPUとGPUの両方に液晶金属(Liquid Metal)が採用されており、放熱器を取り外す際に液漏れを起こすリスクが非常に高いからです(Tom’s Guide、2023年6月)。ただ、SSDやRAMの増設だけなら、冷却機構に触れずに済むため、比較的リスクは低いです。
この記事では、2026年7月時点の最新情報を基に、実際のユーザー体験や修理フォーラムの知見も交えながら、HX99G分解のすべてを解説します。
HX99G分解の前に:知っておくべき基本構造とリスク
まず大前提として、HX99Gは一般的なミニPCよりも分解難易度が高いです。その理由をいくつか挙げてみます。
1. ゴム足を剥がす必要がある
底面には2本の長いゴム足が貼ってありますが、その下にネジが隠れています。このゴム足は強力な両面テープで固定されているため、剥がすと再接着時に浮きや接着力低下が起こりやすいです(Tom’s Guide、2023年6月)。
2. 底面カバーが爪で強固に固定されている
ネジを外した後も、底面カバーは複数箇所の爪で固定されています。マイナスドライバーでこじ開ける必要があり、この作業でカバーに傷をつけるリスクがあります。実際のユーザーからも「爪が硬すぎて外すのに苦労した」という声が複数確認されています(Reddit r/MiniPCs、2026年7月時点)。
3. 液晶金属(Liquid Metal)採用によるショートリスク
HX99GはCPU(Ryzen 9 6900HX)とGPU(Radeon RX 6600M)の両方に放熱材として液晶金属を使用しています(Tom’s Guide、2023年6月)。これは一般的なシリコンベースの放熱グリスより熱伝導率が高い反面、電気伝導性があるという大きな欠点があります。放熱器を外す際に周辺の電子部品に液滴が飛散すると、ショートによる致命的な故障の原因になります。
分解に必要な工具と事前準備
実際の作業に入る前に、以下の工具と準備を整えてください。
- プラスドライバー(精密用):底面ネジや内部のブラケットネジに対応
- マイナスドライバー(薄めのもの):底面カバーの爪を外すために必須
- プラスチック製ヘラまたはギターのピック:カバーをこじ開けるときに傷防止に便利
- ピンセット:小さなネジやケーブル類の取り扱いに
- 静電気対策リストバンド:できれば推奨(必須ではないが、基板を触るなら安心)
- 柔らかい布またはマット:本体を傷つけないように置くため
事前準備のポイント:
- 作業前に必ず電源コードを抜き、しばらく放置して内部の熱を冷ましてください。
- ゴム足を剥がす際、接着剤が弱まることをあらかじめ承知しておきましょう。再接着には両面テープ(強力タイプ)を別途用意しておくと安心です。
実際の分解手順:底面カバー取り外しから内部アクセスまで
ここからが本題です。実際にHX99Gを分解する手順を段階的に説明します。
ステップ1:ゴム足を剥がす
本体を底面(ポート類がない側)にして、2本の長いゴム足をゆっくりと剥がします。爪で端を持ち上げ、ゆっくり引っ張るようにして剥がしてください。焦って強引に引っ張ると、ゴムが伸びたり破損したりします。
ここでネジが4本程度現れます(正確な数は個体差がある可能性があります)。これらをプラスドライバーで全て外します。
ステップ2:底面カバーの爪を外す
ネジを全て外したら、底面カバーを外します。ここが最初の難関です。
カバーは周囲4方向の爪で固定されています。薄いマイナスドライバーをカバーと本体の隙間に差し込み、慎重に爪を外していきます。このとき、ドライバーを奥まで差し込みすぎると基板を傷つける可能性があるので、5mm程度の深さまでを目安にしましょう。
実際に分解経験のあるユーザーからは、「マイナスドライバーで一周ぐるっとこじ開けるようにすると外しやすい」というコツが共有されています(カトラスブログ、2024年8月)。
ステップ3:内部のブラケットを外す
底面カバーが外れると、内部の基板が姿を現します。ここでM.2 SSDスロットやRAMスロットが見えるはずです。
SSDやRAMを交換・増設するだけであれば、この時点で作業は完了です。冷却機構(ファンやヒートパイプ)には一切触らないようにしてください。触る必要はありません。
もしファンの清掃や冷却機構の分解を考えているなら、ここからさらに作業が進みますが、液晶金属のリスクを強く認識したうえで自己責任で進めてください。
ステップ4:ヒートシンク・ファンユニットの取り外し(要注意)
放熱器を取り外す場合、ヒートパイプとファンを固定しているネジを外します。ここで絶対にやってはいけないのが、放熱器を無理に引きはがすことです。液晶金属は経年劣化で固まっていることがあり、無理に引っ張るとCPUやGPUのダイ(半導体チップ)ごと剥がれる危険性があります。
ヒートシンクを外す際は、ドライバーで軽くこじるのではなく、放熱器を水平にスライドさせるようにゆっくりと動かしてください。また、外した後は周辺の電子部品に液体金属が付着していないか必ず確認しましょう。
液晶金属のリスクを改めて考える:なぜ初心者は止めたほうがいいのか
ここで、あらためて液晶金属のリスクについて掘り下げます。Tom’s Guide(2023年6月)のレビューでも「Minisforumは冷却機構の改造を非推奨としている」と明記されており、事実上メーカーも一般ユーザーによる分解を想定していません。
実際の修理フォーラム(DIY Laptop Repairフォーラム、2021年〜)では、液晶金属の液漏れによるショート症状として「電源が入らない」「充電ランプが点灯しない」といったトラブルが報告されています。これらの修理には、基板上のMOSFETやコイルの導通チェックといった専門的な診断が必要になり、一般ユーザーにはほぼ対処不可能です。
結論として、HX99Gの分解は「SSD・RAMの増設まで」にとどめておくのが無難です。冷却ファンの掃除も、エアダスターで外部から吹く程度にしておきましょう。
HX99Gの内部構造:どこに何があるのか(視覚的イメージ)
ここで内部構造の概要を把握しておきましょう。以下の情報は超能网(2023年1月)と抖音の分解動画(2024年6月)を基にしています。
- CPU(Ryzen 9 6900HX):基板中央やや上部に搭載。周囲に液晶金属が塗布されている。
- GPU(Radeon RX 6600M):CPUの隣に搭載。こちらも液晶金属使用。
- ヒートパイプ:CPU/GPUからファンへ熱を導く銅製パイプ。7本構成。
- M.2スロット(ストレージ用):2基。いずれもM.2 2280サイズに対応。1基はPCIe 4.0 x4、もう1基はPCIe 4.0 x4とNGFF SATA両対応(超能网、2023年1月)。
- M.2スロット(Wi-Fi/Bluetooth用):M.2 2230サイズが別途存在。
- RAMスロット:SODIMMスロットが2基。DDR5対応で最大64GBまで拡張可能。
- ファン:CPU/GPU兼用の大型ファンが1基。底面吸気・背面排気のフロー。
SSD増設時には、両面実装のSSDが物理的に入らないという報告がある点に注意してください(カトラスブログ、2024年8月)。スペースがタイトなため、片面実装のM.2 SSDを選ぶのが無難です。
HX99G分解でよくあるトラブルとその対処法
実際にユーザーから報告されているトラブルをまとめました。
トラブル1:電源が入らない / LEDが点灯しない
これは液晶金属の液漏れや静電気によるショートの可能性が高いです。専門フォーラム(DIY Laptop Repairフォーラム、2021年)では、以下の診断手順が推奨されています。
- 充電コネクタの電圧を測定(期待値は19V)。
- 入力側のMOSFETが短絡していないかチェック。
- コイルの導通テストを実施。
- 3V/5Vのレール電圧を確認。
これらはテスターを用いた上級者向けの作業であり、初心者が手を出す領域ではありません。保証期間内であればメーカーサポートに連絡することを強く推奨します。
トラブル2:ゴム足が再接着しなくなった
これはほぼ確実に起こる問題です(Tom’s Guide、2023年6月)。あらかじめ強力両面テープ(厚さ0.6mm程度)を用意しておき、再接着時に貼り直しましょう。滑り止め効果が完全には戻らないこともありますが、縦置きスタンドを使う場合は問題になりません。
トラブル3:底面カバーの爪が折れた
力任せにこじ開けると起こります。爪が折れても動作には影響しませんが、カバーが浮く原因になります。プラスチック製のヘラを使い、均等に力をかけて外すのがコツです。
SSD・RAM増設だけならここまで:最小限の分解で最大の効果
ここまで読んで「やっぱり冷却機構には触りたくない」と思った方、その判断は正しいです。SSDやRAMの増設だけなら、ステップ3までで十分です。
具体的には:
- 底面カバーを外す(ゴム足剥がし+ネジ外し+爪外し)
- 既存のSSDまたはRAMを交換
- カバーを戻す
これだけです。放熱器には一切触れません。この作業だけでも、ゴム足の接着力低下や爪外しの難しさは経験できますが、致命的なリスクは回避できます。
HX99G分解に関するユーザーのリアルな声
実際に分解や増設を経験したユーザーの声を集計しました(2026年7月時点、各種SNS・フォーラム調査)。
ポジティブな声(約7件)
- コンパクトな筐体ながらゲーミング性能が高い点に満足。
- USB4搭載で外付けGPUや高速ストレージに対応できる将来性を評価。
- 縦置きスタンドが付属しており、デスクの省スペース化に貢献している。
ネガティブな声・つまずき(約5件)
- 底面のゴム足を剥がす際の接着剤劣化に対する不満が複数。
- 「底面カバーの爪が硬すぎて外せない」という声が多数。
- SSD増設スペースが狭く、両面実装SSDが物理的に入らないという報告。
- 高負荷時のファンノイズが大きいというレビュー。
これらの声からもわかる通り、HX99Gの分解は「できる」と「やるべき」の間に大きなギャップがあります。特にゴム足と爪の問題は、ほぼすべてのユーザーが経験するストレスポイントです。
液晶金属に代わる選択肢はあるのか:他機種との比較
ここで、HX99Gのような液晶金属採用機種と、従来の放熱グリス採用機種を比較してみます。
| 機種名 | 底面アクセス | ゴム足剥がしの要否 | 工具の特別性 | 冷却機構のリスク | ユーザー分解推奨度 |
|---|---|---|---|---|---|
| Minisforum HX99G | 底面カバー+内部ブラケット | 必要(接着弱化リスク) | プラス+マイナス | 高(液晶金属) | ★★☆☆☆ |
| Intel NUC 12 Enthusiast | 底面ネジのみ | 不要 | トルクスドライバー | 中(通常グリス) | ★★★★☆ |
| ASUS ROG NUC | 底面ネジのみ | 不要 | プラスドライバー | 低(通常グリス) | ★★★★★ |
| 一般的ミニPC(例: ASRock DeskMini) | 底面ネジのみ | 不要 | プラスドライバー | 低(通常グリス) | ★★★★★ |
この表を見るとわかる通り、HX99Gは分解ハードルが圧倒的に高いです。液晶金属のリスクに加え、ゴム足剥がしという一手間が加わることで、初心者が気軽に手を出せる構造ではありません。
HX99G分解を検討している方へ:最終的なアドバイス
ここまで様々な角度からHX99Gの分解について解説してきました。最後に、読者の皆さんがこれからどう行動すべきか、整理しておきます。
SSD・RAMの増設だけを考えている場合 → チャレンジしても構いませんが、ゴム足が弱ることと爪外しの難しさは覚悟してください。作業はステップ3までにとどめ、放熱器には絶対に触らないでください。
ファン清掃や冷却機構のメンテナンスを考えている場合 → やめておきましょう。液晶金属のリスクを軽く見積もると、後悔することになります。どうしてもという場合は、専門業者に依頼するか、メーカーサポートに問い合わせてください。
どうしても自分で分解したい場合 → 以下の点を厳守してください。
- 放熱器を外す際は水平にスライドさせる(引きはがさない)
- 外した後は周辺回路に液体金属が付着していないか必ずチェック
- 再組立て時は液晶金属を新しいものに塗り直す(または高品質な放熱グリスに交換)
ただし、これらはすべて自己責任です。保証が無効になることも覚悟してください。
まとめ:HX99G分解は「やれること」と「やるべきこと」を区別しよう
Minisforum HX99Gの分解は、SSD・RAM増設という限定的な目的であれば実行可能ですが、冷却機構に踏み込むことはリスクが高すぎます。液晶金属の採用がその最大の理由であり、Tom’s Guide(2023年6月)や超能网(2023年1月)の情報を改めて確認しても、メーカーは一般ユーザーによる分解を推奨していません。
実際のユーザーからも「ゴム足の接着力低下」「爪外しの困難さ」「SSDスペースの狭さ」といった具体的な課題が報告されており、分解経験者ですら苦戦するポイントであることがわかります。
HX99Gはそのコンパクトさと高性能で魅力的な製品ですが、その裏側には高度な冷却設計とそれに伴うメンテナンスの難しさが隠れています。この記事が、皆さんの判断の一助になれば幸いです。
もしどうしても拡張やメンテナンスが必要なら、以下の製品も検討してみてください。いずれも分解が比較的容易で、液晶金属のようなリスクがありません。
Minisforum HX99G
CPU・GPU両方に液晶金属を採用した本機は、最高峰の冷却性能を誇る反面、分解には最大級の注意が必要です。SSD・RAM増設までにとどめ、冷却機構には触れないのが無難です。
Intel NUC 12 Enthusiast
通常の放熱グリスを採用しており、底面アクセスも比較的容易です。トルクスドライバーは必要ですが、液晶金属ほどのリスクはありません。
ASUS ROG NUC
プラスドライバーのみで底面カバーが開き、放熱グリスも一般的なタイプ。自作PC経験者ならほぼ誰でも分解・増設をこなせます。

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