ミニPCの買い替え不要モデル?Minisforum X1 370の拡張性を徹底解説

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ミニPC市場で今、ひときわ注目を集めているのが「Minisforum AI X1 Pro」、そしてその心臓部であるAMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサ。この「minisforum x1 370」の組み合わせ、気になっている方も多いんじゃないでしょうか。

この製品、多くの発表記事では「AI PC」として紹介されていますが、実はそれ以上に注目すべきポイントがあります。メモリ増設、ストレージ拡張、外付けGPU接続が自在にできる拡張性こそが、他にはない最大の特徴です。

この記事では、2026年7月時点で判明している情報をもとに、スペックの羅列ではなく「実際に買うとしたら、自分の用途に合うのか」という視点で掘り下げていきます。このミニPCがどんな人におすすめで、どんな人には向かないのか。購入直前の判断材料として、最後まで読んでいただければと思います。

Minisforum X1 370搭載モデルの登場と最新事情

まずは基本のおさらいから。MinisforumがRyzen AI 9 HX 370を搭載した新型ミニPC「AI X1 Pro」を正式発表したのは、2025年3月6日のことでした(IT之家 2025年3月6日付記事)。その後、同年4月中旬には中国市場向けに販売が開始されています。

アメリカでの参考価格は899ドル(32GBメモリ+1TBストレージ構成)、中国では国補適用後で4,790元(約9万円台)という価格帯です(超能网 2025年4月報道)。日本国内での正式な発売日や価格は、2026年7月時点でまだアナウンスされていません。

ちなみに、このX1 ProシリーズにはRyzen AI 9 HX 370の他に、Ryzen AI 9 365やRyzen 7 260を搭載したモデルもラインアップされています。また、Ryzen 7 255を搭載した非Pro版の「X1」も同時に発表されました(极客公園 2025年4月9日付)。

発表から1年以上が経過し、日本語での実機レビューはまだ極めて少ないのが現状です。ですが、その分、英語圏や中国のレビュー動画や実機レポートから得られる情報を元に、今この製品が本当に価値があるのかを検証していきましょう。

なぜ「拡張性」がこれほど注目されるのか

AI X1 Proが他のミニPCと一線を画すのは、筐体サイズ(195×195×47.5mm)というコンパクトさを保ちながら、3つの拡張要素をすべて備えている点です。

具体的には次の3つです。

  1. 可拆卸(交換可能)なSO-DIMMメモリスロット×2
  2. M.2 PCIe 4.0スロット×3
  3. OCuLinkポート×1

これらの組み合わせは、2025年発表のRyzen AI 9 HX 370搭載ミニPCの中でも現時点で唯一無二といっても過言ではありません。

例えば、同じRyzen AI 9 HX 370を搭載するBeelink SER9はメモリがオンボード固定(最大32GB)で、M.2スロットも2基まで。拡張性という点ではX1 Proに大きく水をあけられています。

もちろん、拡張性が高い=誰にとっても良い、というわけではありません。むしろ、「自分はこれを使うかどうか」で価値が大きく変わる製品です。次項から、それぞれの拡張要素がどんなユーザーに刺さるのかを見ていきましょう。

OCuLinkが変える外付けGPUの世界

OCuLinkとは、外付けGPU(eGPU)を接続するためのインターフェースです。USB4やThunderboltと違い、PCIeをそのまま引き出す形になるため、より高い帯域幅を確保できます。

USB4の理論値が40Gbpsなのに対し、OCuLink(PCIe 4.0×4)は約64Gbps相当の帯域を実現します。この差は、外付けGPUでゲームをしたり、大規模なAI推論を動かしたりする際に、パフォーマンスのロスに直結します。

Retro Game Corpsによるレビュー動画(B站 2025年4月公開)では、OCuLink経由で外付けRTX 4070を接続し、4Kゲームを実用的なレベルで動作させることに成功していました。

この機能が活きるのはこんな人です。

  • 自宅では大型GPUでゲームやAI処理、外出先ではミニPC単体で軽作業をしたい人
  • ノートPCを買い替えるより、GPUだけアップグレードしたい人
  • 将来的にGPU性能が足りなくなった時に、本体ごと買い替えずに済ませたい人

一方で、「そもそも外付けGPUを使う予定がない」「内蔵のRadeon 890Mで十分」という人には、OCuLinkはオーバースペックかもしれません。その場合は、Beelink SER9などUSB4のみのモデルでも十分でしょう。

3つのM.2スロットが実現するストレージ戦略

M.2スロットが3つあることは、一見「多いな」で終わりがちですが、実際の使い勝手はかなり変わってきます。

最大で12TB(4TB×3)のストレージを内蔵できるため、次のような使い方が可能になります。

  • OSドライブ・キャッシュドライブ・データドライブを物理分離して、システム安定性と速度を両立
  • RAID構成を組んでデータの冗長化や読み書き速度の向上を図る
  • PlexサーバーやNAS代わりとして大容量メディアを保存

特に、動画編集や3Dモデリングなど、大容量ファイルを扱うクリエイターにとっては、ストレージが足りなくなった時にドライブを増設できる安心感は大きいはずです。

競合のIntel NUC 14 ProやASUS PN53がM.2スロット2基なのに対し、3基搭載は明らかなアドバンテージと言えます(Intel ARK・ASUS公式スペックより)。

最大96GBのメモリ拡張とその意義

公式には最大128GBのメモリに対応するとされていますが、ここで一つ注意点があります。

2026年7月時点で市販されているSO-DIMM DDR5モジュールの最大容量は48GB/枚です。そのため、実質的な上限は96GB(48GB×2)となります(超能网の96GB記載が現実的です)。

それでも96GBという容量は、ほとんどのミニPCが64GBまでしか対応しない中で、かなり突出しています。

この広大なメモリ空間が活きるのは次のようなシーンです。

  • ローカルで大規模なLLM(大規模言語モデル)を動かすAI開発者
  • 複数の仮想マシンを同時に稼働させるエンジニア
  • 8K映像の編集や大規模な3Dレンダリングを行うクリエイター

Beelink SER9がメモリ固定32GBなのと比較すると、用途の広がりが段違いです。

ミニPCの常識を変えるデュアル2.5GbEと内蔵電源

拡張性の話題からは少し外れますが、見逃せないのが2.5GbE LANポートが2つ搭載されている点と、内蔵電源を採用している点です。

デュアルLANは、ホームネットワークに詳しいユーザーにとっては夢のような仕様です。リンクアグリゲーション(帯域集約)で5Gbps相当の通信を実現したり、ルーター代わりに使ったり、NASとの高速データ転送を安定して行えたりします。一般的なミニPCが2.5GbE×1か、1GbE×1なのを考えると、かなり尖った仕様と言えます(Intel NUC 14 Proは2.5GbE×1、Lenovo ThinkCentre M75q Gen 5は1GbE×1)。

また、内蔵電源という地味ながら大きなメリットもあります。ACアダプタが不要になるので、デスク周りがすっきりするだけでなく、持ち運びもしやすくなります。

競合と比較してX1 Proは本当にお買い得なのか

ここまでの話を踏まえて、主要な競合と比較してみましょう。いずれも2025年時点で入手可能なRyzen AI 9 HX 370搭載または同等クラスのミニPCです。

比較項目Minisforum AI X1 ProASUS PN53Lenovo ThinkCentre M75q Gen 5Beelink SER9
プロセッサRyzen AI 9 HX 370Ryzen 7 7840URyzen 7 PRO 7840URyzen AI 9 HX 370
NPU性能50 TOPS非対応非対応50 TOPS
内蔵GPURadeon 890M (16CU)Radeon 780M (12CU)Radeon 780M (12CU)Radeon 890M (16CU)
最大メモリ96GB (実質上限)64GB64GB32GB (固定)
M.2スロット数3基2基1基2基
OCuLinkありなしなしなし
有線LAN2.5GbE×22.5GbE×11GbE×12.5GbE×1
内蔵電源ありなしなしなし

(出典:Minisforum公式発表、AMD公式、Intel ARK、ASUS公式、Lenovo PSREF)

この表を見てわかる通り、同じRyzen AI 9 HX 370搭載機でありながら、Beelink SER9との差はかなり大きいです。

ただし、価格も考慮する必要があります。X1 Proは32GB+1TB構成で米国価格$899(約14.5万円)に対し、SER9は同構成で$999〜$1,099程度。X1 Proの方が安価でありながら拡張性で上回っているのは、コストパフォーマンスの面でも評価できるポイントです。

発熱と騒音の実態はまだ不透明

ここまで良いことばかり書いてきましたが、正直なところ、発熱と騒音に関する詳細な実測データは、2026年7月時点では十分に出そろっていません。

AliExpress上に掲載された英語・韓国語のレビュー記事では、フルロード時の温度が78〜82℃に達するとの記載がありました。しかし、これらの記事はAI生成の可能性も指摘されており(AliExpressレビュー 2025年7月掲載)、鵜呑みにはできません。

デュアルファン+ヒートパイプという冷却構成自体は発表されているものの、実際の負荷時ファンノイズ(dB値)や、長時間稼働時のサーマルスロットリングの有無については、信頼できる情報源からの報告を待つ必要があります。

ただ、Retro Game Corpsのレビュー動画では冷却性能について一定の評価がされており、少なくとも「使い物にならないほど熱い」というわけではなさそうです。

Minisforum X1 370購入前に知っておきたい注意点

この製品を検討するにあたり、いくつか事前に把握しておくべきポイントをまとめます。

まず、前述の通り日本国内での正規販売ルートが2026年7月時点で未確定です。そのため、現実的な入手方法は海外通販(AliExpressや公式サイトからの直送)となります。並行輸入品になるため、保証やサポートが国内メーカー製と比べて手厚くない可能性がある点は覚悟しておいた方がいいでしょう。

次に、OCuLinkの実用性です。理論上は高速ですが、実際にeGPUを接続するには専用のケーブルやアダプタが必要で、設定にも少し手間がかかります。「とりあえずOCuLinkがあるから買ってみよう」というより、「OCuLinkを使う具体的な計画がある」人向けの機能です。

また、128GBメモリ対応についても、前述の通り2026年7月時点では48GBモジュール×2=96GBが実質上限です。将来的に64GBモジュールが出れば128GBに到達する可能性もありますが、現時点では公式発表を額面通りに受け取りすぎない方が賢明でしょう。

拡張性が魅力のミニPCをおすすめする理由と選び方

最後に、Minisforum X1 Proが特に向いているユーザーと、代替案も含めた選び方をまとめます。

こんな人にはX1 Proがおすすめです。

  • 今すぐではなく、将来的なアップグレードを見越してミニPCを選びたい人
  • 外付けGPUを使ってゲームやAI処理をしたいが、デスクトップPCは置きたくない人
  • ストレージを大量に使う作業(動画編集・3Dモデリング・データ分析)をする人
  • ホームネットワークを自分で構築するのが好きな人(デュアル2.5GbEが活きる)

反対に、こんな人は別の選択肢も検討した方がいいでしょう。

  • とにかくコンパクトで静かなミニPCが欲しいだけの人(拡張性はオーバースペック)
  • 外付けGPUを使う予算も計画もない人
  • 国内メーカーの安心サポートを重視する人

同じRyzen AI 9 HX 370搭載機で、よりシンプルな構成で良いなら、以下の製品も候補になります。

Beelink SER9は、メモリ固定32GBながら、X1 Proと同じCPUとGPUを搭載し、よりコンパクトなボディで提供されています。拡張性より携帯性や省スペースを優先する方に向いています。

Intel NUC 14 Proは、Core Ultra 7 155H搭載で、NPU性能は34TOPSとやや劣るものの、Thunderbolt 4による拡張性と安定したドライバサポートが魅力です。ビジネス用途や安定稼働を最優先する方に適しています。

ASUS PN53はRyzen 7 7840U搭載で、X1 Proより一回り性能は落ちますが、価格も抑えめで、国内正規品が入手しやすいモデルです。コストパフォーマンスを重視するなら選択肢に入ります。

Minisforum X1 370搭載モデルは「買い」なのか

ここまで様々な角度からMinisforum AI X1 Pro(Ryzen AI 9 HX 370搭載モデル)を検討してきました。

結論から言えば、拡張性をフル活用する予定がある人にとっては、現時点で最も有力な選択肢の一つです。OCuLink、3基のM.2スロット、交換可能なメモリという組み合わせは、同じ価格帯のミニPCでは他に類を見ません。

ただし、その価値を引き出せるかどうかは、あなたの使い方次第です。単に「最新のRyzen AI 9 HX 370が搭載されているから」という理由だけで選ぶと、宝の持ち腐れになる可能性があります。

購入を検討されている方は、次の3つを自分に問いかけてみてください。

  1. 1年後、3年後にもこのミニPCを使い続けたいか
  2. 外付けGPUや増設ストレージを使う具体的なシナリオがあるか
  3. 国内サポートがなくても自分でトラブルシュートできるか

これらの問いに対して「はい」と答えられるなら、Minisforum X1 Proはきっと長く愛せる一台になるはずです。今後の日本での正式発売や、より詳細な実機レビューの登場にも注目しながら、じっくり検討してみてください。

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