「MinisforumのBIOSアップデート、やろうと思ったけどなんか怖いな……」
そう思ってこの記事を開いたあなたは、かなり慎重な方です。実際、その慎重さがあなたのミニPCを救うかもしれません。
結論から言います。MinisforumのBIOSアップデートで最もやってはいけないのは、ダウンロードしたZIPファイルの中にある「AFUWINx64.EXE」をダブルクリックして実行することです。これをやると、高い確率でBIOS書き込みが不完全になり、パソコンが起動しなくなる「文鎮化」を引き起こします。
2026年1月には、実際にこの手順ミスが原因と見られる起動不能事例が複数報告されています(Reddit, 2026.1)。この記事では、なぜEXE直押しが危険なのか、どうやって正しくアップデートするのか、そしてもし失敗したらどう復旧するのかを、実際にユーザーが陥ったトラブルをもとに解説していきます。
MinisforumのBIOSアップデート、なぜ「EXE直押し」が危険なのか
まず、Minisforumから配布されるBIOSアップデート用のZIPファイルの中身を見てみましょう。だいたい以下のようなファイルが入っています。
AFUWINx64.EXE(BIOS書き換えツール本体)WinFlash.bat(バッチファイル)XXXXXX.ROMまたはXXXXXX.BIN(BIOSイメージファイル)
ここで多くのユーザーがやってしまうのが、「とりあえずEXEファイルをダブルクリック」という行動です。Windowsに慣れた人なら当然の動きですよね。でもこれが最大の落とし穴なんです。
WinFlash.batをメモ帳で開いてみると、中身はこんな感じになっています。
AFUWINx64.exe XXXX.ROM /p /b /n /k /r /l /RLC:E /reboot
そう、バッチファイルは特定のフラグ(オプション)を付けてEXEを実行しているんです。ここに含まれる/p(Program)、/b(Boot Block)、/n(Non-Volatile)、/k(Clear CMOS)、/r(Reset)、/l(Load Defaults)といったフラグが、正しくBIOSを書き換えるために必要不可欠な命令です。
ところが、EXEを直接実行するとこれらのフラグが一切付与されません。つまり不完全な状態でBIOSの書き換えが始まってしまうというわけです。2026年1月にRedditで報告されたBD795i SEの文鎮化事例は、まさにこのパターンでした。
直近で報告されたMinisforumのファームウェア問題(2026年1月時点)
2026年に入ってから、Minisforumユーザーの間で特に話題になっているのがBD795i SEというマザーボードのBIOSバージョン1.15です。
BD795i SE BIOS 1.15で発生した起動不能問題
2026年1月15日、RedditのMinisforumコミュニティに「BD795i SEがBIOSアップデート1.15を適用したら文鎮化した」というスレッドが立てられました(Reddit, r/MINISFORUM, 2026.1)。
この報告が普通のトラブルと違うのは、CMOSクリアでは復旧しないという点です。通常、BIOS設定が原因で起動しなくなった場合は、基板上のCMOSクリアボタンやバッテリーを外すことでリセットできました。しかしこのケースではそれでもダメだったんですね。
なぜかというと、このバージョンにはAGESA(AMD Generic Encapsulated Software Architecture)PIの更新が含まれていたからです。AGESAとはAMD製CPUのメモリ制御や初期化処理を司るマイクロコードみたいなもので、これが変わるとマザーボードの起動シーケンスそのものが変わってしまいます。
同じスレッドでは「SPIフラッシャーを使えば書き戻せるかもしれないが、一般ユーザーにはハードルが高い」というコメントもあり、結局のところメーカーRMA(修理・交換)に出す以外の確実な復旧手段はないというのが現状です。
「動いているなら触るな」が半数以上のユーザーの結論
このBD795i SEの報告に限らず、MinisforumのBIOSアップデート全般についてユーザー間でよく見られる意見が「安定して動いているなら、絶対にアップデートするな」というものです。
UM690というモデルではバージョン1.16へのアップデートで文鎮化リスクが指摘されていますし、UM773のバージョン1.16に至っては変更点が「非対応だった65Wモードを削除しました」というだけで、そもそも機能追加すらありません(驱动之家, 2024.3)。
アップデートによって得られるメリットよりも、文鎮化して数日間パソコンが使えなくなるリスクの方が明らかに大きい。この判断は、決して過剰反応ではないと私も思います。
正しいMinisforumファームウェアアップデートの手順
とはいえ、「新しいBIOSで不具合が直るかもしれない」「公式が出してるんだからやるのが普通でしょ」という人もいるでしょう。そんな人のために、正しい手順を解説します。
前提条件:Windows環境が必須
まず大きな前提として、MinisforumのBIOSアップデートはWindows環境で実行することが前提となっています。NPB6というモデルでは、LinuxやProxmox環境からUSBブートで更新しようとしても失敗するケースが報告されています(Reddit, r/MiniPCs, 2024.5)。
どうしてもLinuxしか使えないという場合、唯一の現実的な解決策は「Windowsが入ったオリジナルのNVMe SSDに差し替えて起動する」ことです。面倒ですが、これ以外に確実な方法は確認されていません。
ステップ1:公式サイトからBIOSファイルを入手する
Minisforumの公式サポートページ(https://www.minisforum.com/new/support)にアクセスし、該当モデルのBIOSファイルをダウンロードします。
ただし注意点が一つ。この公式サイトは、地域によってはアクセスが不安定になることが報告されています(Chiphellフォーラム, 2026)。もしアクセスできない場合は、時間帯を変えて試すか、VPNを使うなどして対応してください。
ステップ2:ZIPファイルを展開する(EXEは開かない)
ダウンロードしたZIPファイルを右クリック→「すべて展開」で中身を出します。
ここで絶対にやってはいけないのが、AFUWINx64.EXEをダブルクリックすることです。 前述の通り、これだけで文鎮化一直線です。
ステップ3:WinFlash.batを右クリック→「管理者として実行」
正解はこれだけです。WinFlash.batを右クリックして、「管理者として実行」を選んでください。
実行するとコマンドプロンプトの画面が開き、BIOSの書き換えが始まります。進行状況がパーセンテージで表示されるので、完了するまで絶対に電源を切らないでください。
ステップ4:再起動後、最大30分のブラックスクリーンに耐える
書き換えが完了して再起動した後、画面が真っ暗なままになることがあります。これは特にAGESAが更新されたバージョンで起こりやすい現象です。
ここで焦って電源ボタンを長押しして強制終了するのは絶対にダメです。バックグラウンドでメモリトレーニングが行われている可能性があり、これを中断すると今度こそ本当に文鎮化します。最大30分程度は待ってみてください。30分経っても画面が表示されない場合は、一度CMOSクリアを試してみる価値はあります。
それでもBIOSアップデートが失敗したら?復旧方法と判断基準
CMOSクリアで戻るケースと戻らないケース
BIOSアップデート後に起動しなくなった場合、最初に試すべきはCMOSクリアです。
Minisforumの多くのモデルには、基板上に「CMOSクリアボタン」または「CMOS_CLR」という名前のジャンパーピンがあります。電源ケーブルを抜いてからこのボタンを数秒押すか、ジャンパーキャップを移動させて数秒待ち、元に戻してから再度電源を入れてみてください。
ただし、これで復旧するのはあくまでBIOS設定が原因の場合だけです。前述のBD795i SE BIOS 1.15のように、AGESA更新が原因で起動しなくなるケースでは、CMOSクリアは効果がありません(Reddit, 2026.1)。
SPIフラッシャーという最終手段
どうしても復旧しない場合、上級者向けの手段としてSPIフラッシャーを使ったBIOSチップへの直接書き込みがあります。
これはマザーボード上のBIOSチップに直接ケーブルをつないで、外部からBIOSイメージを書き込む方法です。専用の機器(CH341Aなど)と別のPCが必要で、技術的な知識も求められるため、初心者が手を出すのは正直おすすめしません。
結局のところ、メーカー保証期間内であればサポートに連絡してRMA(修理・交換)を依頼するのが現実的です。
そもそもアップデートするべきか?判断フローチャート
ここまでの話をまとめると、MinisforumのBIOSアップデートにはかなりのリスクが伴います。以下のフローチャートで、あなたがアップデートすべきかどうか判断してみてください。
- 今のパソコンは安定して動いているか? → YESならアップデート不要
- アップデートでしか解決しない不具合に遭遇しているか? → NOならアップデート不要
- モデルがBD795i SEで、バージョンが1.15か? → YESなら絶対にやらない
- モデルがUM690で、バージョンが1.16か? → YESならやらないほうが無難
- それでもどうしてもやりたいなら、Windows環境を用意し、必ずバッチファイル実行
この判断基準は、あくまで2026年7月時点でRedditやChiphellなどのユーザーコミュニティで共有されている知見を集約したものです。
【モデル別】Minisforumファームウェアアップデートのリスクと注意点まとめ
以下に、主要モデルのアップデートリスクを整理しました。
| モデル名 | 危険度(文鎮化リスク) | 推奨されるアップデート方法 | 特に注意すべき点 |
|---|---|---|---|
| BD795i SE | 高(1.15で複数報告) | 必ずWinFlash.batを管理者実行で。EXE直押し禁止。 | 更新後、メモリトレーニングで最大30分のブラックスクリーンが続く場合あり。CMOSクリアでは復旧しないケースがある(Reddit, 2026.1)。 |
| NPB6 | 中(環境依存) | Windows 11が入ったNVMeに差し替えて起動し、BAT実行。 | Linux/UEFIシェルからの更新はほぼ不可能。UEFIパーティションがないと動作しない(Reddit, 2024.5)。 |
| UM690 | 中~高(1.16) | 安定動作中なら更新しないが最善。どうしてもやる場合はバッチファイル実行。 | 1.16について「文鎮化する」という報告あり。適用は要注意(Reddit, 2024.6)。 |
| UM773 | 低 | 通常のFAT32 USB更新が可能。 | 1.16の変更点は「非対応の65Wモード削除」のみ。現状困っていなければ更新不要(驱动之家, 2024.3)。 |
結局、Minisforumのファームウェアアップデートはやるべきか?
ここまで読んでいただいたあなたなら、もう答えは見えているかもしれません。
結論:今のパソコンが安定して動いているなら、MinisforumのBIOSアップデートはやらないほうがいい。これが2026年7月時点でのユーザーコミュニティの総意です。
BIOSアップデートは「やればやるほど良いもの」ではありません。特にMinisforumのように比較的小規模なメーカーでは、ファームウェアのテスト体制が大手ほど充実していない可能性があります。実際にユーザーが被った被害(2026年1月のBD795i SE事例)を見ると、「なんとなく最新にしておこう」という軽い気持ちで実行できるものではないとわかります。
どうしてもアップデートが必要な場合——例えば特定の不具合に悩まされていて「これで直るなら」という場合——は、必ずバッチファイルを管理者実行すること。このたった一つのルールを守るだけで、文鎮化リスクは大幅に下げられます。
逆に言えば、このルールすら守れないという人は、アップデートに手を出さないのが一番の安全策です。Minisforumのパソコンは、BIOSをアップデートしなくても普通に使える優秀なマシンです。その安定性を、むやみなアップデートで壊してしまわないようにしてください。
もしどうしてもアップデート後のトラブルに備えたいなら、Windowsがインストールされた別のストレージを用意しておく、SPIフラッシャーを事前に調べておく、あるいはメーカーサポートの連絡先を控えておくなど、復旧手段をあらかじめ準備しておくことをおすすめします。
安心してMinisforumを使い続けるために、あなたが賢い選択をできることを願っています。
Minisforum製品を快適に使うためのおすすめアイテム
BIOSアップデートのリスク管理には、予備のストレージやデータバックアップが欠かせません。以下のアイテムを用意しておくと、万が一のトラブルにも対応しやすくなります。
これらのアイテムを活用して、Minisforumライフをより安全に楽しんでください。

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